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Global Legal Update

Global Legal Update Vol. 129 | 2026年7月号

ジョーンズ・デイでは、世界各国に広がる40のオフィスが、現地の法令や判例等の最新情報をAlert/Commentary等としてお伝えしています。その中から日系企業に特に関心が高いと思われるものを以下でご紹介します。なお、英文部分の各リンクからAlert/Commentary等の原文をご覧頂けます。

商事・不法行為訴訟

改正EU製造物責任指令:EU加盟国における状況と変化するリスク環境
The Revised EU Product Liability Directive: State of Play Across EU Member States and Evolving Risk Landscape

本コメンタリーは、欧州におけるEU製造物責任指令の実施状況について検証するシリーズ企画の第一弾です。

2024年、欧州連合(EU)は改正製造物責任指令(指令(EU)2024/2853、以下「EU PLD」)を公布し、EU PLDは、2026年12月9日までにすべてのEU加盟国において国内法化する必要があります。EU PLDは、2026年12月9日以降に市場に投入され、または使用が開始された製品に適用されます。この日付より前に市場に投入され、または使用が開始された製品には旧制度が引き続き適用されますが、この日付以降に重大な改変または更新がされた製品には、EU PLDが適用される可能性があります。

国内法化の期限が迫る中、加盟国の約3分の1が国内法化の法案を公表しており、各国の立法機関がEU PLDをどのように解釈し、適用するのかについての初期的な見通しが示されています。EU PLDは最大限の調和を求めているものの、各国の法案からは解釈の相違が明らかになっています。

EU PLDは、特にデジタル製品、ソフトウェアおよびAI駆動型技術の分野で指摘されていた規制の不備を埋めるものであり、欧州の製造物責任制度を根本から見直すものです。同指令の原告に有利な推定および拡大された開示義務により、製造業者、輸入者、デジタルプラットフォーマー等は、厳格な無過失責任に基づく請求へのより高いリスクに直面することになります。2026年12月の期限に先立ち、企業はコンプライアンス体制の整備に着手し、国境をまたぐ協調的な訴訟戦略を策定する必要があります。

本コメンタリーは、EU製造物責任指令の改正およびEU加盟国における国内法化の動向を紹介するものであり、欧州で製品を販売する日本企業にも影響を及ぼすことから紹介いたします。詳細は、Jones Day Commentary "The Revised EU Product Liability Directive: State of Play Across EU Member States and Evolving Risk Landscape"(オリジナル英語版)をご参照ください。

訴訟・紛争解決

国際商業会議所仲裁規則の2026年改正の発効
The 2026 Revisions to the ICC Arbitration Rules Enter Into Force

国際商業会議所(International Chamber of Commerce、以下「ICC」)仲裁規則の2026年改正(以下「2026年規則」)が、2026年6月1日に発効しました。2026年規則は、ICC仲裁における効率性、透明性および手続上の柔軟性を高めることを目的としたものであり、主な改正点には、以下の事項が含まれます。

  • 仲裁人の情報開示義務の強化
  • 付託事項書(Terms of Reference)の作成の非義務化
  • ケースマネジメント会議(Case Management Conferences)の強化
  • 電子的手段による通信の原則化
  • 早期決定の成文化
  • 迅速手続の適用基準額の引上げ
  • 高度迅速仲裁規定(Highly Expedited Arbitration Provisions)の創設

本コメンタリーは、2026年規則がこれまでの仲裁実務を反映したものであり、仲裁手続に実質的な変更をもたらすものではないものの、規則として定めることによりICC仲裁における効率性、透明性および手続上の柔軟性を高めるものであり、実務上重要であることから紹介する次第です。原文は、Jones Day Commentary “The 2026 Revisions to the ICC Arbitration Rules Enter Into Force”(オリジナル英語版)をご参照ください。

税務

IEEPA関税の還付を命ずる命令に対し、米国政府が控訴

控訴の展開次第では、清算が最終確定した申告について米国税関のシステムによる還付が認められず、裁判提起等の手段を講じる必要が生じ得ます。

弊所のアラートでもお伝えした通り、合衆国最高裁判所は、国際緊急経済権限法(IEEPA)に基づく関税(IEEPA関税)措置が無効であるという判決を下しましたが、当該判決はIEEPA関税の還付について明示しませんでした。とりわけ、輸入申告の清算(liquidation)後一定期間が経過し、米国税関(CBP)による再清算も納税者による異議申立てもできない最終確定の状態(final)における還付の可否が明確でないため、上記最高裁判決後も、清算や最終化を防ぐ目的で裁判を提起する事例が続いていました。

そのようななか、米国国際貿易裁判所(CIT)は、2026年3月4日、Atmus事件において、未清算又は最終確定前のIEEPA輸入申告をIEEPA関税なしで清算・再清算することを命じ、3月27日付で最終確定後の申告を含む広範な還付命令を発しました。

CITによる上記命令を受け、米国税関は、「統合通関管理・処理システム(CAPE)」というシステムを開発し、同年4月20日より還付手続を開始しました。ただし、現時点で還付手続の対象となる関税納付は、最終確定に至らない輸入申告(未清算の輸入申告及び清算後80日以内の輸入申告)に限定されています。

しかしながら、米国政府は、CITによる還付命令の普遍的な射程を争うべく、同年6月3日付でFederal Circuit Courtに控訴しました(V.O.S.事件)。関連文書によれば、米国政府は、すでに還付手続がはじまっているIEEPA輸入申告に異議を唱えるものではなく、最終確定したIEEPA輸入申告で、かつ当該関税の還付のための裁判が提起されていないものについて異議を唱えています。控訴審の判断は未だ出ていませんが、今後の展開によっては、最終確定したIEEPA輸入申告についてはCAPEによる還付が受けられず、還付を受けるためには裁判提起等の手段を別途講じなければならない可能性があります。

このように、IEEPA関税を支払った輸入者は、各輸入申告の清算日・最終確定の有無・CAPEの対象か否かを確認し、CAPEの対象外となる申告については、還付請求権を保全するための措置を講ずることを速やかに検討する必要があります。


その他、2026年6月は以下の情報をAlert/Commentary 等としてお伝えしています。

独占禁止法・競争法

カルテル損害賠償請求の一括処理:ドイツ連邦裁判所が限界を画定
Bundled Cartel Damages Claims: German Federal Court of Justice Sets Boundaries

競争法執行の焦点:アジア太平洋地域におけるダークパターン
Competition Enforcement Focus: Dark Patterns in Asia-Pacific

ドイツ、企業結合規制の届出閾値と執行の大幅な見直しを提案
Germany Proposes Overhaul of Merger Control Thresholds and Enforcement

商事・不法行為訴訟

イタリア、EU一般製品安全規則に基づく執行を強化
Italy Tightens Enforcement Under the EU General Product Safety Regulation

事業再編・倒産

ニューヨーク州倒産裁判所、賃貸借契約の譲渡における将来履行の適切な保証及びチャプター11の再生計画における免責条項について判断
New York Bankruptcy Court Weighs In on Adequate Assurance of Future Performance under Assigned Leases and Chapter 11 Plan Exculpation Provisions

テキサス州倒産裁判所、チャプター15に基づく救済を受けるには外国債務者が米国内に資産を有することを必要とするバーネット・ルールを採用
Texas Bankruptcy Court Adopts Barnet Rule Requiring Foreign Debtor to Have U.S. Assets to Be Eligible for Chapter 15 Relief

エネルギー

レーザー核融合が大きく前進:ドイツの放射線防護法案
Laser Fusion Is Making Great Strides: Germany’s Draft Bill on Radiation Protection

ESG (環境・社会・ガバナンス)

カリフォルニア州の気候変動開示の適用開始が迫る
California Climate Disclosure Countdown

欧州委員会、サステナビリティ・デュー・ディリジェンス指令(CSDDD)の主要ガイドラインに関する意見募集を開始
EU Commission Opens Consultation on Key CSDDD Guidelines

欧州委員会、環境訴求に関する消費者エンパワメント指令(EmpCo指令)の加盟国における国内法化を催促
EU Commission Pushes for Transposition of the EmpCo Directive on Environmental Claims

欧州委員会、気候問題に関するEUタクソノミーの改正を計画
European Commission Planning to Amend the EU Taxonomy on Climate Issues

グリーンデータセンター:EUにおけるエネルギー効率とサステナビリティの先駆者
Green Data Centers: Pioneering Energy Efficiency and Sustainability in the EU

英国の新たな炭素国境調整メカニズム
The New UK Carbon Border Adjustment Mechanism

フィナンシャル・マーケット

米国商品先物取引委員会(CFTC)、予測市場におけるイベント契約の審査枠組みを提案
CFTC Proposes Framework for Review of Prediction Market Event Contracts

欧州マネーロンダリング対策機関の制裁権限
The Sanctioning Powers of the European Anti-Money Laundering Authority

政府規制

オランダの対内直接投資審査、6つの新たな機微技術分野に拡大へ
Dutch FDI Screening Set to Expand to Six New Sensitive Technology Categories

オランダ政府、米国企業によるクラウドプロバイダー買収を阻止、EUデジタル主権への関心の高まりを示す
Dutch Government Blocks U.S. Acquisition of Cloud Provider, Signaling Heightened Focus on EU Digital Sovereignty

メキシコ、包括的な汚職防止改革を検討
Mexico Eyes Sweeping Anti-Corruption Reform

知的財産

米国最高裁判所、「スキニーラベル」と誘引侵害について判断
U.S. Supreme Court Weighs In on “Skinny Labels” and Inducement

労働・人事

新たな優先事項と従来の法律:2025年および2026年の連邦労働雇用法の動向
New Priorities, Familiar Laws: Federal Labor and Employment Law Developments in 2025 and 2026

M&A

オーストラリアのFIRB(外国投資審査委員会)承認にはどのくらいの時間がかかるか?最新の統計とさらなる合理化のための改革
How Long Does Australian FIRB Approval Take? Latest Statistics and More Streamlining Reforms

プライベート・クレジット

荒波の中のセーフハーバー:プライベートクレジット市場の嵐の中でファンドファイナンスが明るい兆しであり続ける理由
Rough Seas, Safe Harbor: Why Fund Finance Remains a Bright Spot in the Private Credit Storm

不動産

今注目のトピック:ビハインド・ザ・メーター(公共の供給網を利用しないエネルギー供給)が英国不動産市場を変革している理由
Current Thinking: Why Behind-the-Meter Energy Is Reshaping UK Real Estate

証券訴訟・証券法規制執行

米国連邦最高裁判所、証券取引委員会(SEC)は投資家の損失を証明することなく違法利得の返還を求めることが可能と判示
Supreme Court: SEC May Seek Disgorgement of Profits Without Proving Investor Loss

税務

イリノイ州で可決された全米初のデジタル資産税の留意点
Illinois Passes Nation’s First Digital Asset Tax. Here’s the Catch

米国租税裁判所、ステーキング報酬は受領時に総収入に含めるべきと判断
U.S. Tax Court Holds Staking Rewards Are Gross Income Upon Receipt

テクノロジー

EUガイドライン案、AI法においてAIシステムが高リスクに該当する場合を明確化
Draft EU Guidelines Clarify When AI Systems Are High-Risk Under the AI Act

EUデータセンター規則、拡張インセンティブと新たなエネルギー義務を組み合わせ
EU Data Center Rules Combine Expansion Incentives with New Energy Obligations

欧州委員会、AI生成コンテンツのマーキングおよびラベリングに関する最終実務規範を公表
European Commission Publishes Final Code of Practice on Marking and Labelling AI-Generated Content

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