IEEPA関税の還付を命ずる命令に対し、米国政府が控訴
控訴の展開次第では、清算が最終確定した申告について米国税関のシステムによる還付が認められず、裁判提起等の手段を講じる必要が生じ得ます。
弊所のアラートでもお伝えした通り、合衆国最高裁判所は、国際緊急経済権限法(IEEPA)に基づく関税(IEEPA関税)措置が無効であるという判決を下しましたが、当該判決はIEEPA関税の還付について明示しませんでした。とりわけ、輸入申告の清算(liquidation)後一定期間が経過し、米国税関(CBP)による再清算も納税者による異議申立てもできない最終確定の状態(final)における還付の可否が明確でないため、上記最高裁判決後も、清算や最終化を防ぐ目的で裁判を提起する事例が続いていました。
そのようななか、米国国際貿易裁判所(CIT)は、2026年3月4日、Atmus事件において、未清算又は最終確定前のIEEPA輸入申告をIEEPA関税なしで清算・再清算することを命じ、3月27日付で最終確定後の申告を含む広範な還付命令を発しました。
CITによる上記命令を受け、米国税関は、「統合通関管理・処理システム(CAPE)」というシステムを開発し、同年4月20日より還付手続を開始しました。ただし、現時点で還付手続の対象となる関税納付は、最終確定に至らない輸入申告(未清算の輸入申告及び清算後80日以内の輸入申告)に限定されています。
しかしながら、米国政府は、CITによる還付命令の普遍的な射程を争うべく、同年6月3日付でFederal Circuit Courtに控訴しました(V.O.S.事件)。関連文書によれば、米国政府は、すでに還付手続がはじまっているIEEPA輸入申告に異議を唱えるものではなく、最終確定したIEEPA輸入申告で、かつ当該関税の還付のための裁判が提起されていないものについて異議を唱えています。控訴審の判断は未だ出ていませんが、今後の展開によっては、最終確定したIEEPA輸入申告についてはCAPEによる還付が受けられず、還付を受けるためには裁判提起等の手段を別途講じなければならない可能性があります。
このように、IEEPA関税を支払った輸入者は、各輸入申告の清算日・最終確定の有無・CAPEの対象か否かを確認し、CAPEの対象外となる申告については、還付請求権を保全するための措置を講ずることを速やかに検討する必要があります。
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