日本における簡易実効税率セーフハーバーの適用時期
OECD/20「BEPS包摂的枠組み」が公表した恒久的セーフハーバー(簡易実効税率セーフハーバー)は、令和8年度税制改正では手当されず、日本における適用は2027年度からとなる見通しです。
日本は、令和5年度税制改正によりグローバル・ミニマム課税の一つである所得合算ルール("IIR")を導入しました。同ルールに従った個別計算所得等の金額や対象租税額等の計算方法は複雑であり、日系多国籍企業にとっては、当面は簡便な移行期間CbCRセーフハーバー("TCSH")に依りつつも、TCSHが適用できない場合やその適用期間が満了した場合の対応が関心事でした。そのようななか、2026年1月5日にOECD/G20「BEPS包摂的枠組み」("IF")が公表した「共存パッケージ」には、米国等に最終親会社を有する多国籍企業グループを適用除外とする「共存セーフハーバー」に合わせて、恒久的セーフハーバーとしての「簡易実効税率セーフハーバー」("SETRSH")及びTCSHの期間延長が含まれていました。SETRSHは、簡便な方法で所得金額や対象租税額の計算を認めるものであり、日本企業にとって事務負担軽減となることが期待されます。
SETRSHの適用時期については、原則として2026年12月31日より後に開始する会計年度(2027年度)からであるものの、一定の場合には、2025年12月31日より後に開始する会計年度(2026年度)からの選択適用も可能とされています。
財務省が2026年1月23日に公表した内容によれば、令和8年度税制改正による見直しの対象として共存セーフハーバーの導入やTCSHの期間延長は言及されているものの、SETRSHの導入は明示されていません。仮にSETRSHの導入が令和9年度税制改正による場合、その適用は、早くて2027年度からであると思われます。ただし、2026年度に適格国内ミニマムトップアップ課税("QDMTT")においてSETRSHの早期導入を認める国があり、日系多国籍企業がかかる国に構成会社等を有する場合には、QDMTTセーフハーバーによる適用免除を受けることは可能であると解されます。かかる結果は、共存パッケージのパラ197から合理的に解釈し得るものであり、QDMTTセーフハーバーの整合性基準(Consistency Standard)の目的にも矛盾しないと考えられますが、IF又は日本の税務当局による明確化が望まれます。
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