Global Legal Update Vol. 127 | 2026年5月号
ジョーンズ・デイでは、世界各国に広がる40のオフィスが、現地の法令や判例等の最新情報をAlert/Commentary等としてお伝えしています。その中から日系企業に特に関心が高いと思われるものを以下でご紹介します。なお、英文部分の各リンクからAlert/Commentary等の原文をご覧頂けます。
独占禁止法・競争法
シンガポール、合併規制制度を改正 - ディールメーカーが押さえるべきポイント
Singapore Updates Merger Control Regime—What Dealmakers Need to Know
シンガポールの競争当局が、合併審査手続の簡素化に踏み切ります。2026年5月1日に施行される新ガイドラインは、審査の迅速化と届出負担の軽減を実現するものであり、クロスボーダー案件に取り組むM&Aチームにとって歓迎すべき内容となっています。
2026年4月7日、シンガポール競争・消費者委員会(以下「CCS」といいます。)は、改訂された「企業結合に関するガイドライン」、新しい合併届出様式(以下「Form M1」といいます。)及びこれに伴う「命令及び是正措置に関するガイドライン」の改正を公表しました。これらの改正は、昨年秋に実施されたパブリックコメントを経て、2026年5月1日に施行されたもので、シンガポールの企業結合規制の枠組みに関する近年で最も重要な見直しといえます。
当局の狙いは明確で、より迅速かつ効率的で予見可能性の高い企業結合審査プロセスを実現することにあります。
主な改正点は次の3点です。
- 低リスク案件向けのファストトラックの新設:CCSは、競争上の懸念が生じる可能性が低い企業結合のための、効率的な審査制度を導入しました。フェーズ1の審査期間は30営業日から25営業日へと短縮され、時間的制約のある案件にとって意義のあるスピードアップとなります。
- 書類負担の軽減と早期の見通し提示:改訂ガイドラインおよび簡略化されたForm M1により、企業結合当事者および第三者に求められる情報量が削減されます。また、CCSは、当該取引が精査の対象となる可能性があるか否かを早期に示すこととしており、ディールチームはこれに沿った計画を立てやすくなります。
- 届出前段階における体系的な対話:新たなForm M1にはカーテシー・コール(事前相談)用のテンプレートが盛り込まれており、正式な届出に先立ち、当事者が体系的に整理された取引概要を提出することを推奨しています。これにより、当局との初期段階の協議が、より的を絞った効率的なものとなることが期待されます。
ディールメーカーへの示唆
シンガポール市場で活動する企業およびアドバイザーにとって、今回の改正は以下の具体的なメリットをもたらします。
- ディール・スケジュールの短縮:フェーズ1の審査期間が25営業日に短縮されたことにより、シンプルな企業結合案件についてはディールの確実性が高まり、実行リスクの低減が期待されます。
- 届出コストの低減:提出しなければならない情報が見直されたことにより、特に競争上の懸念が少ない取引については、データ収集や当局対応に要する時間が削減されます。
- タイミングの見通しの向上:CCSから審査結果の見通しが早期に示されることにより、ディールチームはサイニングからクロージングまでのリスク管理や、複数法域における届出の調整をより効果的に行うことができるようになります。
- アクションアイテム:M&Aチームおよびそのアドバイザーは、2026年5月1日までに、改訂版Form M1および更新されたガイドラインの内容を十分に把握しておくべきです。同日以降に届出を行う案件については、新たな様式を使用する必要があります。
その他、2026年4月は以下の情報をAlert/Commentary 等としてお伝えしています。
独占禁止法・競争法
隠れた手数料、重い罰金:英国競争・市場庁(CMA)による消費者保護取締りの加速
Hidden Fees, Heavy Fines: The CMA's Consumer Protection Crackdown Gathers Pace
欧州連合司法裁判所(CJEU)、競争法損害賠償訴訟における証拠開示の基準を明確化
CJEU Clarifies the Standard for Accessing Evidence in Competition Damages Cases
商事・不法行為訴訟
米国環境保護庁(EPA)、PFAS報告義務の期限を延長
EPA Extends Date for Required PFAS Reporting
エネルギー転換およびインフラストラクチャー
メキシコ、戦略的インフラへの民間投資を促進
Mexico Unlocks Private Investment in Strategic Infrastructure
フィナンシャル・マーケット
米国の銀行監督当局、資本規制枠組みの抜本的見直しを提案(第2部):カテゴリーIII及びIVの金融機関について
U.S. Banking Agencies Propose Sweeping Overhaul of Capital Framework - Part II: Category III and IV Banking Organizations
米国証券取引委員会(SEC)が道を切り開く:暗号資産インターフェースプロバイダーは証券業者(Broker-Dealers)に該当しない可能性
SEC Staff Carves Out a Path: Crypto Interface Providers May Not Be Broker-Dealers
米国連邦預金保険公社(FDIC)、米国のステーブルコインのための全国的革新の先導及び構築に係る2025年法(GENIUS法)施行に向けたステーブルコインに係る規則を提案
FDIC Proposes Stablecoin Rule for GENIUS Act Implementation
デラウェア州、デジタル資産分野での主導権掌握を目指す:上院法案第16号及び第19号が銀行業及びステーブルコインに係る現代的な規制枠組みを提案
Delaware's Bid for Digital Asset Leadership: Senate Bills 16 and 19 Propose a Modernized Banking and Stablecoin Framework
政府規制
イタリア、画期的な新規則によりグリーンウォッシングおよびソーシャルウォッシングを規制対象に
Italy Targets Greenwashing and Social Washing With Landmark New Rules
オランダ法案、同国における制裁執行の大幅な近代化と強化を目指す
Dutch Bill Aims to Significantly Modernize and Strengthen Sanctions Enforcement in the Netherlands
ヘルスケア・ライフサイエンス
欧州バイオテクノロジー法案、提案から100日
The Proposed European Biotech Act, 100 Days On
ライフサイエンス業界向けトランプ政権アップデート 2026年第1四半期
Trump Administration Updates for the Life Sciences Industry Q1 2026
厳しい処方:100%関税が外国製ブランド医薬品を対象に
A Tough Dose: 100% Tariffs Target Foreign-Manufactured Brand-Name Pharmaceuticals
保険補償
AIリスクへの「着眼(A-Eye)」:新たな免責条項の下でAI関連保険を最大限活用する
“A-Eye” on Coverage: Maximizing Insurance for AI Risks Amid Emerging Exclusions
知的財産
ライフサイエンス分野における営業秘密訴訟の動向
Trade Secret Litigation Trends in Life Sciences
インターネット・サービス・プロバイダ(ISP)は責任を免れる:米国連邦最高裁判所が寄与的著作権侵害責任の範囲を限定
ISPs Off the Hook: Supreme Court Narrows Contributory Copyright Liability
労働・人事
米国大統領令、連邦政府契約業者に対し多様性・公平性・包括性(DEI)に関する契約条件を課す
Executive Order Imposes DEI-Related Contract Requirements on Federal Contractors
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