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Global Legal Update

Global Legal Update Vol. 101 | 2024年3月号

ジョーンズ・デイでは、世界各国に広がる40のオフィスが、現地の法令や判例等の最新情報をAlert/Commentary等としてお伝えしています。その中から日系企業に特に関心が高いと思われるものを以下でご紹介します。なお、英文部分の各リンクからAlert/Commentary等の原文をご覧頂けます。

独占禁止法・競争法

米国における企業結合の届出基準額が119.5百万ドルに増額
U.S. Merger Notification Threshold Increases to $119.5 Million

連邦取引委員会は、ハート・スコット・ロディノ法(HSR法)における届出基準額が2024年に増額される旨を公表しました。この基準は、企業結合につき連邦政府に対する事前届出の要否を定める(基準額以上のものについて事前届出を求める)ものです。変更後の基準は2024年3月6日から適用され、2025年初めまで効力を有するものと見込まれます。

また連邦取引委員会は、新たな届出手数料基準が同日から適用されることを公表しています。

HSR法の調整後基準

取引規模要件:HSR法の届出は、取引の結果として買収者が取得する被買収者の議決権付き有価証券、非法人持分又は財産の価額(取引規模)が119.5百万ドル超(2023年は111.4百万ドル超)である場合に必要となる可能性があります。取引規模が119.5百万ドル超478百万ドル以下の場合、下記の当事者規模要件も満たせば届出を要します。取引規模が478百万ドル超になる場合、当事者規模要件を満たすかにかかわらず届出を要します。

当事者規模要件:買収者又は被買収者のいずれかの年間売上高又は総資産が239百万ドル以上であり、かつ他方当事者の年間売上高又は総資産が23.9百万ドル以上の場合、当事者規模要件を満たします(2023年は、それぞれ222.7百万ドル、22.3百万ドル)。ただし、被買収者が製造業者ではない場合、被買収者の総資産が23.9百万ドル以上又は年間純売上高が239百万ドル以上でない限り、当事者規模要件を満たしません。

基準の変更は、大要下表のとおりです。

役員兼任基準及び民事制裁金の増額

本年1月、連邦取引委員会は、クレイトン法第8条における役員兼任禁止に関する基準額も引き上げました。第8条は、純資産額が48,559,000ドルを超える競争事業者間でofficer又は取締役としての兼任を禁止します。ただし、一方の会社において競争関係にある事業に係る売上が4,855,900ドルを下回る場合、兼任は禁止されません。

また同月、連邦取引委員会は、HSR法の違反に対する民事制裁金の上限を1日当たり50,120ドルから51,744ドルに増額しました。

知的財産

米国特許商標庁(USPTO)、人工知能(AI)の支援を受けた発明について新しいガイドラインを発表:人間の貢献が鍵
USPTO Issues New Guidance for Inventions Assisted by Artificial Intelligence: Human Contribution Is Key

2023年10月30日に公表されたバイデン政権の「AIの安全・安心・信頼できる開発と利用に関する大統領令」に対応し、USPTOは先日、発明者がAIの支援を受けた場合の発明者適格に関するガイドラインを発表しました。このガイドラインは2024年2月13日に連邦官報に掲載されました。

USPTOの新しい発明者適格に関するガイドラインは、AIの支援を受けた発明(AI支援発明)は「一律に特許を取得できない」わけではないと言及しつつ、発明者適格の分析は発明者とされている人間によって当該発明への「顕著な貢献」が行われたか否かに着目しなければならないことを強調しています。特許は「人間の創意工夫を奨励し報酬を与える機能」を有しているため、人間が顕著な貢献をしたAI支援発明は特許で保護される可能性があります。

本ガイドラインは、発明プロセスの一部にAI技術を利用している発明者と、そのような発明の特許性を判断するUSPTOの審査官に明確な基準を提供しています。新しいガイドラインにより、短期間でAI支援発明の出願数を増やす可能性があります。しかし、AI技術が進化し続けるにつれて、人間の貢献とAIの貢献の境界線を明確にすることはより困難になるかもしれません。


その他、2024年2月は以下の情報をAlert/Commentary 等としてお伝えしています。

独占禁止法・競争法

DOJとFTCがコラボレーション・ツールとエフェメラル・メッセージングの保全に関する新ガイダンスを発表
DOJ's Antitrust Division and the FTC Announce New Guidance on Preservation for Collaboration Tools and Ephemeral Messaging

欧州委員会、経済的安全保障の強化を目指す計画を発表
European Commission Unveils Plan Aimed at Strengthening Economic Security

商事・不法行為訴訟

アメリカ仲裁協会が新年に新しい大規模仲裁規則を発表
New Year, New Mass Arbitration Rules From the AAA

アーンアウト(Earnout)条項:訴訟の生ずる場合とその回避方法
Earnout Provisions: When Litigation Arises and How to Avoid It

米国司法省が昨年度の虚偽請求取締法(False Claims Act)に関する和解及び判決が過去最高を記録したことを発表
DOJ Announces Record-Breaking Year for False Claims Act Settlements and Judgments

事業再編・倒産

イングランド・ウェールズ控訴院が再生計画を覆す(Adler事件)
Adler: English Court of Appeal Overturns Restructuring Plan

サイバーセキュリティ・プライバシー・データ保護

カリフォルニア州のプライバシー法:2024年に予想される新しい規制の詳細
California Privacy: A Deeper Dive Into the New Regulations Expected in 2024

カリフォルニア州裁判所、新しいプライバシー規制の施行を可能に
California Court Greenlights Enforcement of New Privacy Regulations

エネルギー

未来のクリーン燃料:オーストラリアの水素政策と法制
Clean Fuel of the Future: Policy and Legislation Shaping Australia's Hydrogen Industry

ESG (環境・社会・ガバナンス)

米国環境保護庁がメタン税の導入を提案
EPA Proposes Regulations to Implement Methane Fee

業界団体が米国カリフォルニア州の気候変動開示規制を違憲として提訴
Business Organizations Challenge California's Climate Change Disclosure Requirements as Unconstitutional

米国環境保護庁が資源保全回復法に基づく新たなPFAS(有機フッ素化合物)規制を提案
EPA Proposes New Set of Rules to Regulate PFAS Under RCRA

知的財産

単一特許と統一特許裁判所のポケットガイド
Pocket Guide to the Unitary Patent and Unified Patent Court

調査・企業犯罪

SDNY(ニューヨーク州南部地区)、犯罪行為の自主開示を促す内部告発パイロットプログラムを開始
SDNY Launches Whistleblower Pilot Program to Encourage Self-Disclosure of Criminal Conduct

最高裁、内部通報者によるサーベンス・オクスリ―法違反の請求に報復意図の証明は不要と判断
Supreme Court Holds Proof of Retaliatory Intent Not Required for Sarbanes-Oxley Whistleblower Claims

プライベート・エクイティ

米国デラウェア州において支配株主による「現状変更」のための議決権行使がフィデューシャリー・デューティーに服する旨の判断
Controlling Stockholder Exercising Voting Power as Stockholder to "Change the Status Quo" Owes Fiduciary Duties

不動産

2023年度米国不動産法総括:ESG関連州法の商業・居住不動産所有者への影響
2023 U.S. Real Estate Round-Up: Effects of State ESG Laws on Commercial and Residential Building Owners

証券訴訟・証券法規制執行

2023年通期米国証券訴訟レビュー:重要な法解釈に係る連邦最高裁及び連邦控訴裁判所の判断
2023 Securities Litigation Year in Review

米国証券取引委員会の新たな規則(定義規定)により、登録不要の“Trader”が登録を要する“Dealer”にカテゴライズされるおそれ-顧客の有無自体は“Trader”と“Dealer”の区別に影響せず
Who Needs Customers, Anyway? New SEC Rules Turn Traders Into Dealers

税務

豪州税務当局を知ることなしに豪州移転価格を理解することはできない(Bloomberg Tax
Grasping Australian Transfer Pricing Means Knowing Its Tax Office (Bloomberg Tax)

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