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Global Legal Update

Global Legal Update Vol. 115 | 2025年5月号

ジョーンズ・デイでは、世界各国に広がる40のオフィスが、現地の法令や判例等の最新情報をAlert/Commentary等としてお伝えしています。その中から日系企業に特に関心が高いと思われるものを以下でご紹介します。なお、英文部分の各リンクからAlert/Commentary等の原文をご覧頂けます。

M&A

M&A取引におけるアーンアウト:デラウェア州における最近の判決
Earnouts in M&A Transactions: Recent Decisions From Delaware

2024年、デラウェア州の裁判所は、ライフサイエンス分野のM&A取引におけるアーンアウト条項について、複数の示唆に富む判決を下しました。これらの判断は、以下の重要な点を強調しています。

  • アーンアウト条項およびマイルストーン条項は、しばしばクロージング後の紛争をもたらしています。規制対応部門や財務部門(該当する場合)の意見を反映した、明確かつ正確な文言が非常に重要となります。
  • 買収者は、対象企業のアーンアウト義務について責任を負う可能性があり、このことからデューデリジェンスの一環として、対象企業の潜在的なアーンアウト義務およびその義務を遂行するために対象企業が講じた努力を評価することの必要性が重視されます。
  • 買主は、アーンアウトの支払対象となる買収プログラムに関する措置を講じた商業上の理由の記録を保持する必要があります。
  • アーンアウト条項を策定する際は、買手がマイルストーンを達成するために果たすべき努力の程度(ある場合)を慎重に検討し、適用される基準を満たすにあたり、買主が自らの利益をも考慮できるかどうかを明示的に規定する必要があります。
  • 独立した当事者を「専門家」として起用し、当事者に対し最終的かつ拘束力を有するものとして、適切かつ明確に規定されたアーンアウトに関する紛争解決条項は、強制可能です。
  • 費用負担の転換を意図する場合は、明確に規定する必要があります。

その他、2025年4月は以下の情報をAlert/Commentary 等としてお伝えしています。

独占禁止法・競争法

オーストラリア競争・消費者委員会(ACCC)、オーストラリア消費者法遵守のためオンライン・ステートメントの調査を実施
ACCC Conducts Sweep of Online Statements for Compliance with Australian Consumer Law

事業再編・倒産

シンガポールの企業再生・倒産制度の再検討:スキーム・オブ・アレンジメントにおけるクロスクラス・クラムダウン
Revisiting Singapore's Corporate Restructuring and Insolvency Regime: Cross-Class Cramdown in Schemes of Arrangement

フィナンシャル・マーケット

米国連邦準備制度理事会が届出義務を含む銀行向けの暗号資産関連ガイダンスを撤回
Federal Reserve Withdraws Crypto-Related Guidance Including Notification Requirements for Banking Organizations

オーストラリアにおけるプライベートマーケット規制―今後の見通しは?
The Regulation of Private Markets in Australia—Where to Next?

米国におけるベンチャーキャピタル(Legal 500 Country Comparative Guideへの寄稿)
United States Venture Capital (Legal 500 Country Comparative Guide)

EU目論見書規則(Prospectus Regulation)の改正により、中小企業にとってEU市場の利用可能性が向上:医療分野の企業にとって歓迎される進展
EU Markets Become More Accessible to Small and Medium-Sized Enterprises Thanks to Changes to the EU Prospectus Regulation: A Welcome Development for Companies Active in the Medical Sector

訴訟・紛争解決

EU反SLAPP(strategic lawsuits against public participation)訴訟指令:EU域外の戦略的訴訟に対し公的活動の参加者による損害賠償請求が可能に
EU Anti-SLAPP Directive: Public Participants May Claim Compensation for Strategic Litigation Outside EU

政府規制

中国が反外国制裁法の執行を強化
China Boosts Enforcement of Anti-Foreign Sanctions Law

ヘルスケア・ライフサイエンス

イノベーティブ・インサイト:ライフサイエンス分野の最新法律情報 | 2025年第1四半期
Innovative Insights: Legal Updates in Life Sciences | First Quarter 2025

知的財産

米国特許審判部(PTAB)が当事者系レビュー(IPR)および付与後レビュー(PGR)の審理における二段階プロセスを発表
PTAB Announces a Bifurcated Process for Consideration of IPR and PGR Petitions

ドライラボとウェットラボの境界が曖昧に:AIが支援するライフサイエンス分野の発明における共同発明者
Blurring the Line Between the Dry and Wet Lab: Joint Inventorship in AI-Assisted Life Science Inventions

証券訴訟・証券法規制執行

米国第1巡回区控訴裁判所、証券取引委員会(SEC)による9300万ドルの制裁金を支持した投資顧問会社の開示に係る地裁判決を覆す
First Circuit Reverses SEC Win in $93 Million Investment Adviser Disclosure Case

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