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ジョーンズ・デイ・ニュースレター:Global Legal Update | Vol. 58

ジョーンズ・デイでは、世界各国に広がる40以上のオフィスが、現地の法令や判例等の最新情報をAlert/Commentary等としてお伝えしています。その中から日系企業に特に関心が高いと思われるものを以下でご紹介します。なお、英文部分の各リンクからAlert/Commentary等の原文をご覧頂けます。

独占禁止法・競争法

米国司法省及び連邦取引委員会が垂直合併ガイドラインの最終版を公表
DOJ and FTC Release Final Version of Vertical Merger Guidelines

米国司法省及び連邦取引委員会は、35年ぶりの改正となる、垂直合併ガイドラインの最終版を公表しました。このガイドラインは垂直合併がもたらす競争への弊害を概観し、当局が当該弊害をどのように評価するかを示しています。

このガイドラインの大部分は、垂直合併による競争法の問題が生じた比較的少数の事例を当局がどのように分析したかを反映しており、その内容は、当事務所の経験とも合致しています。このガイドラインは、「垂直合併はしばしば消費者に利益をもたらす」と確認しつつも「必ずしも無害ではない」ということを警告しています。いずれにせよ、このガイドラインの公表は、近年当局が垂直合併に焦点を当てていることを示しています。

このガイドラインについて意見の一致がみられていないことをふまえると、当局がどのようにこのガイドラインを適用するかを注意深く見続ける必要があるといえます。特に注意が必要な分野の一つは、伝統的な垂直合併とは異なる垂直合併に対する当局の扱いです。このガイドラインのファースト・ドラフトでは除外されていたこの取引の類型は、競合するサプライチェーンの様々な段階にある「補助的な」事業または「斜めの」事業を対象とするものです。

フィナンシャル・マーケット

欧州企業に対するCOVID-19に関連する政府支援策
Government Support Measures Related to COVID-19 for European Corporates

新型コロナウイルスの蔓延による経済危機に対し、欧州各国の政府は、景気対策のために様々な支援策を導入するなど、前例のない対応を行っています。

本ホワイトペーパーは、欧州主要国の企業において利用可能な様々な支援策について、その概要をまとめたものです。具体的には、ドイツ、英国、フランス、オランダ、スペイン、ベルギー及びイタリアの7か国における支援策につき、支援額、利用可能となる基準、申請方法及びその後の必要手続等に着目しています。これらの国々で事業を行う企業においては、本ホワイトペーパーをハイレベルな全体像としてご参照いただければと思います。

サイバーセキュリティ・プライバシー・データ保護

欧州司法裁判所、EU標準契約条項の有効性を確認するも、EU米国間のプライバシーシールドは無効と判断
Schrems II Confirms Validity of EU Standard Contractual Clauses, Invalidates EU–U.S. Privacy Shield

欧州司法裁判所は、EUのデータ保護法であるGDPRのもとで、EU標準契約条項に基づいた国際的なデータ移転に関し、適切に運用されるのであれば、有効に行うことができると判断した一方で、EU米国間のプライバシーシールドは無効であるとの判断を示しました。

この判決によって、EUデータ保護機関は、企業によるEU及びEEA域外への個人データの輸出についてより監視を強めることが予想されます。執行までの猶予期間が設けられるかは現在不確実であるため、米国へのデータ移転をEU米国間プライバシーシールドに基づき行っていた企業は、代わりの適切な安全策(SCC、グループ間移転についての拘束的企業準則など)を迅速に導入すべきです。

他方、標準契約条項の有効性は維持されましたが、データを移転する欧州企業は、標準契約条項に基づいてデータを移転する前に、データ移転先である第三国におけるデータ保護の程度について検討し、データの輸入者において、その国で適用される法律により、標準契約条項の義務を遵守できないことが認められる場合には、データ移転自体を中止することが求められます。

政府規制

香港自治法の成立
The Hong Kong Autonomy Act Signed Into Law

2020年7月14日、トランプ大統領は、中国の香港国家安全維持法に対する米国政府の対応として香港自治法に署名しました。

香港自治法において、米国の行政機関は、香港の高度な自治の侵害に関与した又は関与している外国の個人や法人及び当該個人や法人と「重大な」取引を行う外国の金融機関を対象とした報告書を国会に提出することが予定されています。この報告書に記載された個人や法人及び金融機関は制裁の対象となるため、これら及びこれらに関係する者については、規模や米国内外にあるかを問わず、深刻な影響を受ける可能性があります。

そのため、香港自治法は、グローバルなサプライチェーン、商取引関係、コルレス銀行との関係及び融資契約への影響を含め、グローバルな取引に大きな混乱をもたらす可能性があります。

香港自治法が最終的にどのように影響するのかは、関連する報告書に記載されることになる個人や法人及び金融機関の範囲を含め、米国政府がどのように香港自治法を運用するかに大きく左右されます。したがって、香港において活動する金融機関や企業あるいは米中間の貿易や金融の幅広い分野で活動する金融機関及び企業は、香港自治法の運用を注意深く監視し、同法が生み出す新たなリスクや禁止事項に注意を払う必要があります。

欧州・中東における対内直接投資の審査
FDI Screening in Europe and the Middle East

とりわけEUにおいて対内直接投資活動に対する新たな、あるいはより厳格な規制の実施を加速させたことは、COVID-19パンデミックの影響の一つといえます。例えば、欧州委員会は、2020年3月にEU加盟国が対内直接投資の審査制度をフル活用することを奨励する改訂ガイダンスを発表しました。最近ではフランス、オランダ、ドイツ、イタリア、スペイン及び英国の政府が、各々の対内直接投資の審査制度を強化しました。

これらの新たな措置は、健康、医薬品、医療機器、治安に影響を与える分野に関わる国内事業、戦略的に重要なセクターの事業やパンデミックによる経済的影響により外国投資家からの買収を受けやすい事業を保護することをしばしば目的としています。

その結果、対内直接投資を検討している外国投資家は、より強化された審査に直面することになり、投資しようとしている国の対内直接投資の制度に細心の注意を払う必要があります。特に複数の審査制度が関係する複数の法域をまたがる取引については、これらの制度についてうまく調整し、戦略的なアプローチを採ることができるリーガル・アドバイザーと協働していくことが重要になります。

フランス、上場企業への対内直接投資の審査にかかる閾値を10%に引下げ
France Lowers Threshold Triggering FDI Screening Mechanism for Listed Companies to 10%

フランスの対内直接投資の審査は、通常、外国投資家がフランス法により設立された法人の議決権の25%以上を取得することになる取引について適用されます。この25%の閾値は、2020年7月22日付の法令に基づき、指定業種に属する上場企業への対内直接投資については、2020年12月31日まで一時的に10%に引き下げられることになります。この引き下げられた閾値は、非EU及び非EEAの投資家、又はEU外及びEEA外に課税上の住所を有する投資家に適用されます。

この引き下げられた閾値を超える取引(ただし、25%の閾値を下回る取引)については、より簡易な申告(届出)と早期審査手続の対象となります。この手続の一環として、経済・財務大臣は、届出後10営業日以内に、当該取引を認可するか、又は認可のための共通の要求プロセスに従わなければならないかを決定します。10営業日を過ぎても何の連絡がない場合には、認可したものとみなされます。

この新規則は、2020年8月3日以降に行われる投資に適用されます。

調査・企業犯罪

米国司法省と米国証券取引委員会がFCPAリソースガイド(第2版)を公表
DOJ and SEC Publish Second Edition of the FCPA Resource Guide

2020年7月3日、米国の司法省(DOJ)と証券取引委員会(SEC)は、米国海外腐敗防止法(FCPA)に対応する企業及び個人に対して追加的なガイダンスを提供するため、初版からほぼ8年を経て、「海外腐敗防止法リソースガイド」の第2版を公表しました。第2版は、直近の事例及び動向に関する議論を踏まえて反腐敗条項、会計条項及び罰則の各章が加筆され、過去数年におけるDOJの新たなポリシーと改訂されたポリシーを組み込んでおり、DOJとSECがどのようにして効果的な企業コンプライアンスプログラムを評価し、訴追の意思決定をしているかに関する追加的なガイダンスを提供しています。第2版は、企業に対しFCPA順守のためのガイダンスを提供するというDOJとSECの継続的な取り組みを示しています。しかし、過去のDOJとSECのガイダンスと同様、リソースガイドは、政府に対して拘束力を有しておらず、FCPAのいくつかの条項は、解釈と訴追について裁量の余地を残しています。


その他、2020年7月は以下の情報をAlert/Commentary としてお伝えしています。

フィナンシャル・マーケット

香港国家安全維持法の施行
Hong Kong Implements New National Security Law

直接上場での資金調達を可能とするためのニューヨーク証券取引所の再提案
NYSE Reproposes to Permit Capital Raising in Direct Listings

外国企業説明責任法及びこれに関連するナスダック規則の改正案
The Holding Foreign Companies Accountable Act and Related Nasdaq Proposed Rule Changes

ボルカー・ルールの改正に伴う対象ファンドの明確化及び機会創出
Volcker Rule Covered Fund Amendments Provide Clarity and Opportunities

商事・不法行為訴訟

米第二巡回区控訴裁判所、私的な国際仲裁におけるセクション1782に基づくディスカバリーの実施を否定
Second Circuit Holds Section 1782 Discovery Off Limits In Private International Arbitrations

サイバーセキュリティ・プライバシー・データ保護

民間部門でのCOVID-19接触追跡技術の利用に伴うサイバーセキュリティ、プライバシー、労働法上の問題への対応
A Guide to Navigating Cybersecurity, Privacy, and Employment Law Issues with COVID-19 Contact Tracing in the Private Sector

エネルギー

気候変動に関するレポート(2020年第3四半期版)
The Climate Report | Third Quarter 2020

訴訟・紛争解決

欧州における「クラスアクション」:調和した訴訟枠組みに向け前進
"Class Actions" in Europe: Steps Toward a Harmonized Litigation Framework

西オーストラリア州政府、建設業界における代金支払確保に関する法案を提出
Western Australia Proposes Building and Construction Industry (Security of Payment) Bill 2020

政府規制

EUの「クラブ」がより排他的に:外国補助金の門戸を閉ざす?
The EU "Club" Gets More Exclusive: Closing The Doors On Foreign Subsidies?

英国、人権侵害に焦点を当てた独自の制裁政策を打ち出す
UK Launches Independent Sanctions Policy With Focus on Human Rights Violations

ベトナム、EU自由貿易協定とその他の投資法を批准
Vietnam Ratifies Its EU Free Trade Agreement and Other Investment Laws

ヘルスケア・ライフサイエンス

Vital Signs: デジタルヘルス法アップデート 2020年夏
Vital Signs: Digital Health Law Update | Summer 2020

保険補償

COVID-19危機によりサイバー保険の付保範囲の変更を求められる可能性
COVID-19 Crisis May Warrant Changes to Your Cyber Insurance Coverage

知的財産

世界における営業秘密の重要な進展についての中間レビュー
Mid-Year Review of Key Global Trade Secret Developments

総計は部分よりも大きい:米最高裁、Booking.comは保護される商標であると判断
The Sum Is Greater Than Its Parts: U.S. Supreme Court Holds Booking.com Is a Protectable Trademark

調査・企業犯罪

フランス腐敗行為防止規制当局、2019年度年次活動報告を公表
The French Anti-Corruption Agency Publishes Its 2019 Annual Activity Report

労働・人事

サプライチェーンにおける強制労働の抑止-2020年夏版
Labor Trafficking in Corporate Supply Chains—Summer 2020 Update

証券訴訟・証券法規制執行

案件公表前株価を株式買取請求手続における公正価格と認めたデラウェア州最高裁の判断
Delaware Supreme Court Upholds Unaffected Market Price in Statutory Appraisal Action

税務

米内国歳入庁、大企業への執行を強化
IRS Increases Enforcement Efforts on Large Businesses

欧一般裁判所、注目のアップル租税事件で欧州委員会の決定を取り消す
EU Court Overturns Commission Decision in Landmark Apple Tax Case

カリフォルニア州、2022年まで欠損金控除を停止し、税額控除も制限
California Suspends Net Operating Loss Deductions and Limits Tax Credits through 2022

米内国歳入庁、7月15日から数百人規模の高額所得者に対する審査を開始
IRS to Begin Examination of Hundreds of High-Wealth Individuals Starting July 15

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