Jones Day One Firm Worldwide

Global Legal Update Vol. 60 | 2020年10月号

ジョーンズ・デイでは、世界各国に広がる40以上のオフィスが、現地の法令や判例等の最新情報をAlert/Commentary等としてお伝えしています。その中から日系企業に特に関心が高いと思われるものを以下でご紹介します。なお、英文部分の各リンクからAlert/Commentary等の原文をご覧頂けます。

フィナンシャル・マーケット

直接上場での資金調達を可能とするためのニューヨーク証券取引所の規則改正に対する米国証券取引委員会の承認及びNASDAQによる同趣旨の規則改正の提案
SEC Approves NYSE Rule Changes and NASDAQ Proposes Rule Changes to Permit Capital Raising in Direct Listings

米国証券取引委員会(以下「SEC」といいます。)市場取引部(Division of Trading and Markets)は、近時、直接上場に関連して新株発行での資金調達を行うことを可能とするニューヨーク証券取引所(以下「NYSE」といいます。)による規則改正案を承認しました。また、Nasdaq Stock Market LLCは、SECに対し、同趣旨の規則改正案を提出し、その承認を求めています。ただ、権限委譲に基づく市場取引部による当該承認に対しては、その審査を求める申立を行う意向を有する旨の第三者からの通知がなされ、当該通知に基づき、NYSEの規則改正は、SECによる何らかの措置が取られるまで効力発生が停止されています。

承認されたNYSE規則の効力発生が停止されたということは、伝統的な新規株式公開(IPO)手続に代わる待望の代替案が実際に採用されるまで、長く曲がりくねった道のりが続くという最新の展開を表しています。

直接上場に関連して新株発行での資金調達を認めることについてのメリット及びデメリットについては、様々な意見があります。一部の市場参加者がこの仕組みに対し、伝統的な引受けによる売出しと比較して株主保護に劣るなどと批判してきたことに鑑みれば、第三者から審査を求める申立を行う意向を有する旨の通知がなされたことは、特に驚くべきことではありません。NYSEは、SECに対し、規則の効力発生停止を解除するために迅速な措置を取るよう要請することが予想されます。

米国証券取引委員会、適格投資家(accredited investor)などプロ投資家の範囲を拡大
SEC Expands Accredited Investor and Qualified Institutional Buyer Categories

2020年8月26日、米国証券取引委員会(SEC)は、米国証券法(Securities Act of 1933)において証券発行等に係る私募登録免除の適用に際して勘案される、適格投資家(accredited investor)及び適格機関購入者(qualified institutional buyers: QIBs)の範囲を拡大するための最終規則を発表しました。

今回の改正により、適格投資家(accredited investor)の範囲に新たに追加された主な投資家区分は以下のとおりです。

  • SECが指定する専門資格等を有する個人(米国証券外務員資格者など)
  • ヘッジファンド、VCファンド、PEファンドなど私募ファンドの「知識ある従業員」
  • 総資産500万ドル超のリミテッド・ライアビリティ・カンパニー(LLC)
  • 運用資産500万ドル超の「ファミリー・オフィス」及びその「ファミリー顧客」
  • 連邦及び州の登録投資助言業者(RIA)等

また、私募発行された証券の転売に関するルール144Aにおける適格機関購入者(QIB)の範囲も拡大され、適格投資家(accredited investor)の要件を満たす投資家(個人投資家を除きます。)は、その有価証券への投資総額が1憶ドル以上である場合にQIBにも該当することになりました。

なお今回の改正においても、100万ドル超の純資産(配偶者分を含み、主たる住宅の価値を除きます。)を有する、または年収が20万ドル超(または配偶者分を合算して30万ドル超)であるといった、個人投資家が適格投資家(accredited investor)に該当するための資産要件・収入要件については変更はありません。(但し上記「配偶者分」については、「配偶者に準ずる者」も合算対象にするという改正がなされています。)

M&A

オーストリア、新たな外国投資の審査基準を導入
Austria Introduces New Foreign Investment Screening

オーストリアは、2020年7月25日に発効する外国投資の審査対象を拡大する新しい投資規制法(「ICA」)を可決しました。

ICAの対象となるオーストリア企業への外国投資は、デジタル経済担当大臣に届け出なければならず、デジタル経済担当大臣の許可を得た後でなければ取引を完了することはできません(手続は通常最長で66日要します。)。

欧州経済領域又はスイス以外の投資家は、以下の届出が必要となります。

  • オーストリア企業の株式の25%以上又は50%以上の直接又は間接的な取得。但し、「機密性の高い分野」(防衛、重要なエネルギー、デジタル及び5Gインフラ、オーストリアのデータ主権に関連するシステムの運営者、水並びに医療分野の研究開発)の事業を行う企業については、さらに低い10%の閾値が適用されます。
  • ICAが対象とする分野の事業を行うオーストリア企業の直接又は間接的な支配権の取得(ICAにて定義されます。)(当該企業の重要な資産の取得も含みます。)。

ただし、スタートアップ企業、従業員数10人未満の企業、年間売上高又は純資産が200万ユーロ未満の企業を含む小規模企業への海外投資は適用除外となります。

ICAに基づく届出要件又は取引完了の禁止に従わない場合、オーストリア内外での刑事上及び行政上の制裁が課される可能性があります。当該制裁は、オーストリア国内での行為だけでなく、全てがオーストリア国外で行われる行為に対しても適用される可能性があります。

その他、2020年9月は以下の情報をAlert/Commentary としてお伝えしています。

独占禁止法・競争法

米国司法省反トラスト局、企業結合問題解消措置ガイドを更新
DOJ Antitrust Division Updates Merger Remedies Guide

商事・不法行為訴訟

豪州法制度改革委員会(ALRC)、企業の刑事責任に関する最終報告書を公表
ALRC Releases Final Report on Corporate Criminal Responsibility in Australia

従業員福利厚生・役員報酬

利益最適化規制及びESG投資: 証券投資委員会にとっての融合、あるいは、労働者退職所得保障法への懸念
Regulation Best Interest and ESG Investing: Confluence for the SEC or Consternation Under ERISA?

エネルギー

欧州の複雑なエネルギー移行のための包括的なロードマップ
A Comprehensive Roadmap for Europe’s Complex Energy Transition

ブラジル下院、国内の天然ガス市場の競争力強化を目的とした法案を承認
Brazilian House of Representatives Approves Bill of Law Aiming to Increase Competitiveness in the Country's Natural Gas Sector

サウジアラビアの新鉱業法
Saudi Arabia's New Mining Law

再生可能エネルギーを利用したグローバルな水素市場に向けて-豪欧が連携
Towards a Global Renewable Hydrogen Market – Australia and Europe Join Forces

フィナンシャル・マーケット

オーストラリアにおける金融サービス規制の最新情報
Australian Financial Services Regulatory Update

レギュレーションS-Kに基づく開示義務を現代化するための米国証券取引委員会による改正
SEC Adopts Amendments to Modernize Certain Disclosure Requirements Under Regulation S-K

訴訟・紛争解決

国家主体、国家主権と豪州、香港、シンガポールにおける強制執行の確保
State Actors, Sovereignty and Securing Enforcement in Australia, Hong Kong and Singapore

政府規制

気候週間2020クイズ
Climate Week 2020 Quiz

サウジアラビアの新規の観光開発ファンド
Saudi Arabia's New Tourism Development Fund

オーストラリアの支払保全に関する法令
Security-of-Payment Legislation in Australia

保険補償

COVID-19、雇用慣行賠償責任保険に関する多様な考慮事項を発生させる
COVID-19 Raises Various Employment Practices Liability Insurance Considerations

調査・企業犯罪

米国証券取引委員会、内部通報者プログラム規則の改正を承認し、解釈ガイダンスを発行
SEC Approves Amendments to Whistleblower Program Rules and Issues Interpretive Guidance

労働・人事

新経済状況への適応: 労働省による労働者区分テストの提示
Adjusting to New Economic Realities: Department of Labor Proposes Worker Classification Test

EU連邦裁判所による労働時間記録指示-1年後の状況
European Court of Justice Ruling on Daily Registration of Working Time—One Year Later

証券訴訟・証券法規制執行

新たなトレンドとしての会社役員の多様性を巡る株主代表訴訟
Shareholder Derivative Litigation Concerning Diversity in Corporate Leadership Is an Emerging Trend

税務

米国、事業に係る支払利子の損金算入制限に関する最終規則及び規則案
Final and Proposed Regulations Address Deductibility of Business Interest Expense

米国大統領覚書・内国歳入庁通達2020-65により給与税の繰延べを認める
Presidential Memorandum and IRS Notice 2020-65 Defer Employee Payroll Taxes

米国シカゴ、リモートワークによりリース税の負担軽減が可能に
Remote Work Could Reduce Chicago Lease Tax

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