Jones Day One Firm Worldwide

Global Legal Update Vol. 64 | 2021年2月号

ジョーンズ・デイでは、世界各国に広がる40以上のオフィスが、現地の法令や判例等の最新情報をAlert/Commentary等としてお伝えしています。その中から日系企業に特に関心が高いと思われるものを以下でご紹介します。なお、英文部分の各リンクからAlert/Commentary等の原文をご覧頂けます。

フィナンシャル・マーケット

直接上場での資金調達を可能とするためのニューヨーク証券取引所の規則改正に対する米国証券取引委員会の審査及び承認
SEC Reviews and Approves NYSE Rule Changes to Permit Capital Raising in Direct Listings

2020年8月、米国証券取引委員会(以下「SEC」といいます。)市場取引部(Division of Trading and Markets)は、直接上場に関連して新株発行での資金調達を行うことを可能とするニューヨーク証券取引所(以下「NYSE」といいます。)による規則改正案を承認しました。しかしながら、当該承認の審査を求める第三者からの申立てにより、その効力発生は停止されていました。2020年12月22日、NYSEの規則改正案に関する再審査(de novo review)の結果を踏まえ、SECは、当該規則改正案が米国1934年証券取引所法の条項に合致するものであるとして、これを承認しました。

SECがNYSEによる規則改正を承認したことにより、企業が直接上場(引受人である中間業者の関与なしでSECに登録された募集及び証券取引所への上場を行うこと)において、新たに発行する株式を売却する道が開かれました。

直接上場に関連した新株発行での資金調達のメリット及びデメリットについては、引き続き様々な意見が分かれていますが、NYSEによる規則改正の承認により、NYSEへの直接上場を検討する企業が直面する重大な制約が取り除かれ、米国における上場企業となるための代替手段を模索している企業に対し、より大きな柔軟性が付与されることとなります。また、関連する動きとして、2020年12月17日、SECは、2020年9月にNasdaq Stock Market LLCが自らのグローバル・セレクト・マーケットに関して提案した同趣旨の規則改正案につき、これを承認するか否か決定するための手続を開始しました。

政府規制

中国、外国の法律の域外適用に対応する規則を発表
China Releases Rules to Address Extra-Territorial Applications of Foreign Laws

中国商務部は、2021年1月9日、「外国の法律および措置の不当な域外適用に対抗するための規則」(以下「本規則」)を公表しました。16条から成る本規則は、直ちに発効し、中国の国家主権、安全保障及び発展の利益を保護し、中国の国民、法人及びその他の組織の正当な権利と利益を保護することを目的としています。

欧米諸国において中国に支配された企業を対象とした輸出規制、制裁、その他の貿易制限が相次いでなされていることから、本規則は中国が発動した対抗措置であると多くの人に理解されています。中国で事業を行っている企業及び中国企業と取引を行っている企業は、本規則の持つ意味について十分に検討する必要があります。

本規則が実務的にどのように執行され、多国籍企業及び中国企業の双方の事業運営にどのような影響を与えるかについては、今後注視していく必要があります。

ヘルスケア・ライフサイエンス

Vital Signs: デジタルヘルス法アップデート | 2021年冬
Vital Signs Digital Health Law Update Winter 2021

ジョーンズ・デイのデジタルヘルス法に関するニュースレター「Vital Signs」の冬号を発行しました。

デジタル・テクノロジーは、電子医療情報及び遠隔診療から、AIによる診療及び遠隔臨床試験まで、ヘルスケア産業及びライフサイエンス産業のほぼすべての側面を変革してきました。2020年においては、COVID-19パンデミックにより、過去に例のない次元で、デジタルヘルスの開発と導入が促進されました。デジタルヘルス産業は、より大きな進歩、規制の減少、及び、デジタルヘルス技術の継続的かつ広範囲な導入への期待とともに、2021年に入りました。本号の“Industry Insights”セクションでは、ジョーンズ・デイにおけるデジタルヘルス分野のエキスパート数名が、2020年におこったデジタルヘルスの主要4分野における重要な進展、及び2021年における展望を概括しています。

本号では、EU及び米国連邦政府において2021年にすでに実行された多くの政策を紹介しています。米国各州においては、遠隔診療といったトピックに関して重大な動きがあることが予想されますが(この点については次号をご覧ください。)、現時点においては、前号から大きな動きはありません。2021年は、デジタルヘルスに関する法律上及び規制上の動きが非常に活発になることが見込まれていますので、これを注視し続ける必要があります。ジョーンズ・デイのデジタルヘルスチームは、特に注目すべきデジタルヘルス法の最新情報を見守り、厳選されたワンストップのリソースを四半期ごとに提供し続けます。

調査・企業犯罪

FCPA 2020年次レビュー
FCPA 2020 Year in Review

2020年において、海外腐敗行為防止法(Foreign Corrupt Practices Act) (“FCPA”)に関する最大の出来事は、世界各国において協調して実行されたFCPAの処分を含む腐敗行為に対する法的措置において、米国外の規制当局が科した記録的な額の罰金及び制裁金でした。米国においては、司法省(“DOJ”)及び証券取引委員会(“SEC”)も記録的な罰金及び制裁金を科しましたが、その金額は全世界における金額を下回りました。COVID-19パンデミックは、解決が間近だった事案の解決を遅滞させることはなかったようですが、年の大部分の期間における裁判所及び大陪審へのアクセス制限を含む、リモートで証人尋問を実施し、又は、特定の種類の情報を収集することの複雑な問題により、継続中の企業及び個人に対する調査に影響が生じました。

近い将来については、バイデン政権下において、FCPAの執行及び国際協調に継続して焦点があてられていくと予想しています。2016年の年次レビューにおいては、FCPAの執行に膨大なリソースが既に投じられており、また、FCPAの調査が相当数未了のままであったことから、トランプ政権下においてFCPAの執行が停滞したり、劇的に変更されることはないであろうと予測しました。同様に、FCPAの執行は、次期政権下においても高い優先順位を与えられ続けるものと予想しています。新政権の発足は、DOJ及びSECにおける主要ポストに新たなリーダーを迎えることを意味しますが、これらの変化が執行の動きに対して影響を与えることはないといえます。

M&A

オーストラリア:2021年1月1日より外国投資の枠組みの大幅な変更が始動
Significant Changes to Australia's Foreign Investment Framework Commenced on 1 January 2021

オーストラリア政府は、外国投資の審査の枠組みに大幅な変更を加えました。この変更における最も重要な点は、オーストラリアの国家安全保障上もセンシティブな不動産や事業の買収の審査を強化したことです。

オーストラリアで事業や不動産を取得する投資家や企業が国家安全保障に関わる事業について直接権益を取得することについて、外国投資審査委員会(Foreign Investment Review Board)の承認を得るための義務が強化されました。また、オーストラリア政府は、国家安全保障上のリスクをもたらす可能性のある買収や行為を審査するための新たな「審査請求権」及び過去に承認された取引を審査するための「最終審査権」を含めて、海外からの買収を審査する権限を強化しています。

オーストラリアでの M&A を進めようとしている企業は、外国投資審査委員会に対する通知又はその承認が必要かどうか、またオーストラリアの国家安全保障上もセンシティブな不動産や事業の取得を伴う取引であるかどうかについて、特に注意を払う必要があります。既にオーストラリアで投資を行っている企業も(センシティブな産業であるかどうかに関わらず)、自らの投資における受動的な動きが今や外国投資規制の下での義務を発生させる可能性があるため、これをモニタリングする必要があります。


その他、2021年1月は以下の情報をAlert/Commentary としてお伝えしています。

独占禁止法・競争法

健康保険業に対する75年続いた独占禁止法の適用除外を終了
New Law Eliminates 75-Year-Old Antitrust Exemption for "Business of Health Insurance"

ドイツ、独占禁止法にデジタルプラットフォームに対する新たな規制を導入
Germany Adopts New Competition Rules for Tech Platforms

欧州委員会、デジタル業界を規制する包括的な法案を公表
European Commission Unveils Sweeping Proposals to Regulate the Digital Sector

商事・不法行為訴訟

米第4巡回区控訴裁判所、不明瞭な規制を理由に故意を否定し、False Claims Actに基づく請求を棄却
Fourth Circuit Rejects FCA Claims on Scienter Grounds Based on Ambiguous Regulations

事業再編・倒産

オランダの新たな再生スキームが始動
The Dutch Scheme Has Arrived

米国最高裁判所:債権者による債務者財産の保持はオートマティック・ステイに違反しないと判断
U.S. Supreme Court: Mere Retention of Property Does Not Violate the Automatic Stay

サイバーセキュリティ・プライバシー・データ保護

コンピュータ・セキュリティ案件について重大な報告義務を課す規則案
Proposed Computer-Security Incident Rule Would Impose Significant Notification Obligations

従業員福利厚生・役員報酬

従業員ストックオプションプラン:各国の届出義務
Employee Stock Plans: International Reporting Requirements

フィナンシャル・マーケット

フランスの投資会社がより広範な非金融活動を行うことを可能とする命令の発出
French Investment Firms Permitted to Carry Out More Nonfinancial Activities

イタリアで業務を行う英国金融機関に適用されるブレグジット後の暫定的な規制枠組み
Temporary Post-Brexit Regime Applies to UK Financial Institutions Operating in Italy

米国におけるマネー・ローンダリング規制に重大な変更をもたらす法律の成立
Major U.S. Anti-Money Laundering Reforms Become Law

2020年マネー・ローンダリング規制年次レビュー
2020 Anti-Money Laundering Year in Review

訴訟・紛争解決

クラス・アクションに歯止めを:豪州議会合同委報告書
'Put the Brakes on Class Actions': Australian Parliamentary Joint Committee Report

政府規制

EUと中国、投資の原則について画期的な合意
EU and China Reach Landmark Agreement in Principle on Investment

バイデン政権、前政権の規制改革に関する大統領令を撤回
White House Revokes Prior Administration’s Regulatory Reform Executive Orders

バイデン政権、連邦所有地での石油・ガス向けの新規リースの一時停止を発表
Biden Administration Announces Moratorium on New Federal Oil and Gas Leases

米国、米国製製品の優先を強化するための大統領令
Executive Order Seeks to Strengthen Preferences for American-Made Products

COVID-19 EUの主要な動向、政策・規制アップデート(第30号)
COVID-19 Key EU Developments, Policy & Regulatory Update No. 30

COVID-19 EUの主要な動向、政策・規制アップデート(第31号)
COVID-19 Key EU Developments, Policy & Regulatory Update No. 31

COVID-19 EUの主要な動向、政策・規制アップデート(第32号)
COVID-19 Key EU Developments, Policy & Regulatory Update No. 32

欧米の規制当局の製品や廃棄物に含まれる有機フッ素化合物(PFAS)の規制への動き
Regulators in the United States and Europe Move to Restrict PFAS in Products and Wastes

保険補償

COVID-19による損失に事業中断保険の広範な適用を認めるイギリス最高裁判所判決
English Supreme Court Confirms Broad Application of Business Interruption Policies to COVID-19 Losses

調査・企業犯罪

外国腐敗行為を対象とした米国財務省の新たな内部通報者報償プログラム
New Treasury Department Whistleblower Reward Program Targets Foreign Corruption

上訴審訴訟

米最高裁、False Claims Actに関する第5巡回区控訴裁判所の判断を支持
Supreme Court Leaves Fifth Circuit False Claims Act Ruling Intact

労働・人事

2020年のカリフォルニア州労働法制レビュー
A Review of 2020 Labor & Employment Legislation In California

オーストラリアの公正雇用法の大規模改正:改正事項及び今後の見通し
Substantial Reforms Announced to Australian Fair Work Legislation: What's Changing and What's to Come

証券訴訟・証券法規制執行

財務報告及び開示に関するSECの法執行状況:2020年末における最新状況
SEC Enforcement in Financial Reporting and Disclosure: 2020 Year-End Update

社外取締役との情報伝達について秘匿特権に関する懸念を惹起するデラウェア州裁判所の決定
Delaware Court Ruling Raises Privilege Concerns for Communications With Outside Directors

税務

イリノイ州及びシカゴ市の消費者直版型ワイン販売業者に対する新たな課税
New Illinois and Chicago Taxes for Direct-to-Consumer Wine Sales

ワシントンDC、不正請求訴訟の対象を私人による脱税事件の訴追にも拡大
District of Columbia Expands False Claims Act to Include Qui Tam Tax Fraud Actions