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Global Legal Update

Global Legal Update Vol. 94 | 2023年8月号

ジョーンズ・デイでは、世界各国に広がる40のオフィスが、現地の法令や判例等の最新情報をAlert/Commentary等としてお伝えしています。その中から日系企業に特に関心が高いと思われるものを以下でご紹介します。なお、英文部分の各リンクからAlert/Commentary等の原文をご覧頂けます。

サイバーセキュリティ・プライバシー・データ保護

欧州連合と米国、大西洋を越えたデータフローに関する新たな協定に合意
European Union and United States Reach New Agreement for Data Flow Across the Atlantic

2023年7月10日、欧州委員会はEU・米国間のデータプライバシーフレームワークに関して十分性認定を採択しました。米国は、欧州連合から同フレームワークに参加している米国の企業に移転される個人データの適切なレベルの保護を保証していると結論付けています。

十分性認定は、個人データを欧州連合(以下「EU」)から第三国に移転するために一般データ保護規則(以下「GDPR」)により規定されるツールの1つです。

2023年7月10日、欧州委員会は、EU・米国間のデータプライバシーフレームワーク(以下「フレームワーク」)の十分性認定及び一連のFAQに関するプレスリリースを行いました。

この十分性認定は、2022年10月にバイデン大統領が「米国の信号諜報活動に対する保護措置の強化」に関する大統領令14086号(以下「EO14086」)に署名したことを受けたものです(アラートを参照)。EO14086は、欧州司法裁判所が2020年7月のシュレムスII判決で特定したギャップに対処するために米国が実施する新たな措置の概要を説明しています(コメンタリーを参照)。

実務上、新しいフレームワークは、

  • EU企業は、他の保護措置(EU標準契約条項など)を講じることなく、専用Webサイトを通じてフレームワークへの自己認証を行っている米国企業に個人データを移転することができます。
  • 米国企業に対し、プライバシー原則(目的の制限やデータの最小化など)やデータセキュリティなどのプライバシー義務の遵守を要求しています。
  • 米国諜報機関による個人データへのアクセスに関する制限と保護措置を設定しています。特に、EO 14086は、(i)米国諜報機関によるデータへのアクセスを、国家安全保障を保護するために必要かつ相当なものに制限する拘束力のある保護措置、(ii)米国諜報機関による活動の監視強化、及び(iii)個人データへのアクセスに関する苦情を調査し、解決するための新しいデータ保護審査裁判所を規定しています。
  • EUの個人に新しい権利(個人データへのアクセスなど)と救済手段(無料の独立した紛争解決の仕組みなど)を付与しています。
  • 米国商務省が自己認証の申請を処理し、参加企業が引き続き自己認証要件を満たしているかどうかを監視するといった形で管理されます。
  • 米国連邦取引委員会によって執行されます。

これらの保護措置は、使用される移転ツールに関係なく、GDPRに基づく米国企業への全てのデータ移転に適用され、EU標準契約条項(以下「SCC」)及び拘束的企業準則に基づく移転も容易になります。

十分性認定は、発効日、すなわち2023年7月10日から適用されます。現在、米国への移転について他の移転ツール(SCCなど)に依拠している企業は、米国への移転の複雑さと企業の国際的な移転戦略に応じて、(唯一の又は追加の移転ツールとして)新しいフレームワークにおける自己認証を行うかどうかを検討する必要があります。EU・米国間のプライバシーシールドにおける自己認証を維持している企業は、別途新しいフレームワークにおける自己認証を行う必要はなく、フレームワークの原則を遵守し、2023年10月10日までにプライバシーポリシーを更新する限り、直ちに新しいフレームワークに依拠し始めることができます。

労働・人事

職場におけるAI:米国での雇用における自動意思決定ツールをめぐる法律の展望へのいざない
AI at Work: Navigating the Legal Landscape of Automated Decision-Making Tools in Employment

連邦及び州の規制当局は、雇用における自動意思決定ツールの使用を含む人工知能(以下「AI」)ツールにますます注目しています。本ホワイトペーパーでは、募集・採用プロセスにおける雇用者による自動意思決定ツールの使用に焦点を当てながら職場におけるAIの現在の使用状況を調査し、雇用において増え続けるAIの使用に伴う法律や規制上のリスクを検証し、AIを搭載したチャットボットを従業員が使用することについての雇用政策上の考慮事項について議論し、訴訟リスクを軽減しつつ、既存の法律や新たに制定される法律を遵守しながら先取りするための具体的な解決策を提案しています。


その他、2023年7月は以下の情報をAlert/Commentary 等としてお伝えしています。

独占禁止法・競争法

米国司法省と連邦取引委員会、ハート・スコット・ロディノ法(HSR)の事前届出に対して大幅な変更を提案:知っておくべきことは何か?
DOJ/FTC Propose Massive Changes to HSR Premerger Filings: What You Need to Know

EU、外国補助金規制(FSR)におけるM&A取引や公開入札の報告規制を採択
EU Adopts Reporting Requirements for Transactions and Public Bids Under the Foreign Subsidies Regulation

英国競争・市場庁、チームワークはサッカーコートにとどめるべきと企業に警告
United Kingdom's CMA Reminds Businesses That Teamwork Must Stay on the Field

サイバーセキュリティ・プライバシー・データ保護

大手テクノロジー企業がホワイトハウスのAIに対するセーフガードに賛同
Leading Technology Companies Agree to White House's AI Safeguards

ESG(環境・社会・ガバナンス)

ドイツがPFAS(有機フッ素化合物)の基準を新たに制定
New German Regulation Imposes Thresholds for PFAS

フィナンシャル・マーケット

米国司法省、証券取引委員会、商品先物取引委員会及び連邦取引委員会は、セリシウス・ネットワークの創業者らに対し詐欺等に基づく訴追等を開始~今後連邦当局による暗号資産市場参加者に対する厳しい対応が見込まれる
Federal Agencies Coordinate Action Against Celsius for Fraud and Manipulation

政府規制

オーストラリアの連邦腐敗防止委員会が業務を開始
Australia: National Anti-Corruption Commission Commences Operations

チリの新たな鉱業権法:外国投資家への影響
Chile's New Mining Royalty Law: What It Means for Foreign Investors

労働・人事

企業はサプライチェーンにおける強制労働との闘いに着目した複雑で変化し続ける要請に対処することが必要
Companies to Navigate Complex and Changing Requirements Focused on Combatting Forced Labor in Supply Chains

M&A

ベルギーの対内直接投資規制が発効
Belgian Foreign Investment Screening Law Takes Effect

欧州裁判所が加盟国に許される対内直接投資規制の条件を明確化
ECJ Clarifies Conditions Under Which Member States Can Block Foreign Direct Investments

オランダの対内直接投資審査基準:新たな法制度が発効
Foreign Direct Investment Screening in the Netherlands: New Regime In Force

スペインが新たな対内直接投資規制を制定
Spain Approves New Foreign Direct Investment Regulation

税務

米内国歳入庁、一定のタックス・ルーリングに関する早期プログラム改訂版を公表
IRS Updates Fast-Track Program for Certain Corporate Tax Rulings

米財務省及びOECD、クリーンエネルギー税額控除枠の販売に関する規則案等を公表
U.S. Treasury and OECD Lay Groundwork for Selling Clean Energy Tax Credits

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