Jones Day One Firm Worldwide

Global Legal Update Vol. 76 | 2022年2月号

ジョーンズ・デイでは、世界各国に広がる40以上のオフィスが、現地の法令や判例等の最新情報をAlert/Commentary等としてお伝えしています。その中から日系企業に特に関心が高いと思われるものを以下でご紹介します。なお、英文部分の各リンクからAlert/Commentary等の原文をご覧頂けます。

フィナンシャル・マーケット

デラウェア州における償還訴訟―SPAC関連訴訟における新たなフロンティアとなるか?
Delaware Redemption Actions—A New Frontier in SPAC Litigation?

2022年1月3日、デラウェア州衡平法裁判所は、SPACの取締役、スポンサー及び支配株主に対する信認義務違反に関する請求の審理を進めることを認めました。投資家側の原告は、被告らがSPACによる合併の対象会社に関する重要情報を隠蔽し、それにより株主の償還権を棄損したと主張しました。裁判所は、「原告に有利な」規則12(b)(6)の訴答の基準(pleading standard)に基づき被告の棄却の申立をほぼ退け、デラウェア州で設立された他のSPACのスポンサー、役員及び取締役にも関連し得る、以下のような結論を下しました。(i) 投資家の請求は(派生的なものではなく)直接的なものであり、本案前の訴訟要件の制約を受けない、(ii) 投資家の請求は、株主の不作為に基づく「株式保有者(Holder)」の請求ではないため、クラスワイドで提起することができる、(iii) 「SPACの受任者と一般株主の間における株主価値を希釈する取引に固有の利益相反」を根拠に(より判断を尊重するビジネスジャッジメントルールの基準ではなく)厳しい「完全な公平性」の審査基準が適用される。また、裁判所は「このストラクチャーが他のSPACでも利用されていることは、利益相反の問題を解消するわけではない」とも述べています。

裁判所の意見書も認めているように、これはSPACの文脈では初めてのデラウェア州における決定であり、他の裁判所がSPAC関連の事件で同様の結論に達するという保証はありません。また、MultiPlan事件で問題となったde-SPAC取引には、SPACの取締役会の一部のメンバーが当該SPACのCEOの関係する他の複数のSPACの取締役を兼任していたことや、SPACがCEOの関係企業に対してアドバイザリーサービスとして3千万ドル以上を支払ったと主張されていることなど、決定の射程範囲(および完全な公平性の基準の適用)を制限する可能性のある本件に特有の事情がいくつかありました。しかしながら、この決定により(少なくとも、de-SPAC取引後に株価が償還価格を下回ったデラウェア州で設立されたSPACについては)SPACの株主による償還権の保護を求めるデラウェア州の訴訟がさらに提起される可能性があります。 市場関係者は、今回の判決が炭鉱のカナリアなのか、それとも一時的な問題に過ぎないのかを見極めるべく、現在衡平法裁判所に係属している他の償還訴訟を引き続き監視する必要があります。


その他、2022年1月は以下の情報をAlert/Commentaryとしてお伝えしています。

独占禁止法・競争法

欧州裁判所による「優越的地位の濫用」に関する欧州委員会の画期的な決定の取り消し
EU Court Annuls Landmark European Commission "Abuse of Dominance" Antitrust Decision

米国における企業結合の届出基準の1億100万ドルへの引き上げ
U.S. Merger Notification Threshold Increases to $101 Million

商事・不法行為訴訟

ニューヨーク州の訴訟に係る保険情報の開示義務の負担増加
Newly Enacted Law Ups the Ante on Mandatory Insurance Disclosure Requirements in New York State Court Litigation

事業再編・倒産

デラウェア州破産裁判所:破産における双方未履行契約について黙示の引受を認めない判断
Delaware Bankruptcy Court: No Implied Assumption of Executory Contracts in Bankruptcy

フロリダ州破産裁判所:国外債務者が連邦倒産法第15章の適用を受けるためには、米国に居住地、資産、事業所を有する必要はないとする判断
Florida Bankruptcy Court Rules that Foreign Debtor Need Not Have U.S. Residence, Assets, or Place of Business to Be Eligible for Chapter 15 Recognition

サイバーセキュリティ・プライバシー・データ保護

中国における新しいデータ・プライバシー法
New Data Privacy Law in China

エネルギー

商用車の電動化:新たな法制・インフラ・車両
Commercial Fleet Electrification: New Law, Infrastructure, and Vehicles

訴訟・紛争解決

オーストラリアにおける偏頗弁済を受けた債権者の相殺禁止
Set Aside: Australian Creditors Unable to Rely on Statutory Set-Offs to Defend Unfair Preference Claims

ヘルスケア・ライフサイエンス

NSPM-33の実施に関する大統領府のガイダンス:連邦研究資金の情報開示とセキュリティ対策の標準化
White House Guidance on Implementing NSPM-33: Standardization of Disclosure and Security Measures for Federal Research Funding

知的財産

後発医薬品の使用推奨を理由とした保険会社に対する誘引訴訟が進行
Inducement Suit Proceeds Against Insurance Company for Encouraging Use of Generic Drug

新年、新たな商標手続
New Year, New Trademark Proceedings

調査・企業犯罪

FCPA 2021年次レビュー
FCPA 2021 Year In Review

M&A

企業結合審査の文脈で事業売却契約を考える
Crafting Divestiture Agreements in the Context of Merger Investigations

コーポレート・ガバナンスの新たな展望、COVID-19の影響及び2022年の見通し
Emerging Developments in Corporate Governance, Impact of COVID-19, and Looking Ahead to 2022

拡大を続ける各国の外国投資規制と取引審査の厳格化
FDI Regimes Continue to Expand and Increase Scrutiny of Transactions Worldwide

2022年プロキシ・シーズンへ向けて:取締役会の構成と役割
Getting Ahead of the 2022 Proxy Season: Board Committee Names & Functions

2022年プロキシ・シーズンへ向けて:サステナビリティ
Getting Ahead of the 2022 Proxy Season: Sustainability

オーストラリア年金ファンドがオーストラリアの民営化投資の中心へ―国外への投資意欲も高まる
Superannuation Funds Take Center Stage in Australian Take-Privates—and Will Increasingly Need to Invest Outside Australia

ESGの波:ヨーロッパの状況
The ESG Surge Continues: Focus on Europe

ヨーロッパ上場企業M&Aの潮流
Trends in European Public M&A

2021年アクティビスト株主の主要な動き
2021 Shareholder Activism Highlights

2021年度の振り返りと2022年度の予測
2021 Transactional Year in Review and 2022 Forecast

プライベート・エクイティ

カーブ・アウト取引における主要な考慮事項
Key Considerations in Carve-Out Transactions

米国インフラ投資・雇用法:パブリック・プライベート・パートナーシップの役割と概要
Infrastructure Investment and Jobs Act: Overview and the Role of P3s

SPACの振り返りと2022年の展望
SPAC Year in Review and 2022 Outlook

成立か撤回か―いずれの場合も米国税制改正はM&A及びプライベート・エクイティに重大な影響を与え続ける
Until Enacted or Withdrawn, Proposed U.S. Tax Reform Continues to Have an Effect on M&A and Private Equity Transactions

証券訴訟・証券法規制執行

財務報告及び開示に関する米国証券取引委員会(SEC)の法執行:2021年末における最新状況
SEC Enforcement in Financial Reporting and Disclosure: Year-End 2021 Update

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