
カリフォルニア州法案、AIモデルのトレーニングに使用されるデータの開示を義務付け
2026年1月1日、カリフォルニア州議会法案2013号「生成AIトレーニングデータ透明性法」(「AB 2013」)が施行され、生成AIの開発者は、自身のウェブサイト上でAIモデルのトレーニングに使用するデータに関する情報を公開することが義務付けられます。
AB 2013の目的
議会スタッフによる分析によると、AB 2013はAIシステムおよびサービスの透明性を高め、消費者が競合するシステムを比較し、そのシステムに対する信頼度を評価できるようにすることを目的としています。
AB 2013の適用範囲
開示要件は、2022年1月1日以降にリリースされ、カリフォルニア州民が無料または有料で利用可能な(AIシステム全般ではなく)生成AIシステムに適用されます。これには、生成AIシステムを設計、コーディング、製作、または大幅に改変する開発者が含まれます。AB 2013は、セキュリティインシデントを検出するシステムなど、セキュリティと整合性を確保することのみを目的とするGenAIシステムなど、いくつかの限定された例外を設けています。それ以外の場合、AB 2013はユタ州の上院法案226号、コロラド州のAI法、およびEUのAI法とは異なり、すべてのGenAIシステムに適用され、高リスクシステムに限定されません。
要件の概要
生成AI開発者は、生成AIシステムの開発に使用されたデータセットの概要を開示することが求められます。概要と言いつつも、AB 2013は12の必須開示項目を列挙しており、そのうちのいくつかはさらに詳細に示されています。例えば、以下の事項が含まれます。
- データの出典と所有者
- データポイントの数
- データの種類
- データセットに著作権、商標、または特許で保護されたデータが含まれているかどうか
- データセットに個人情報が含まれているかどうか
- データが収集された期間、およびデータ収集が継続中かどうか
- データセットが開発に初めて使用された日付
開示の形式
該当する開発者は、この開示情報を自身のウェブサイトに掲載する必要があります。AB 2013は開示の形式を規定していないため、議会のプライバシーおよび消費者保護委員会は、開示が高度に技術的な形式で作成された場合、透明性の目標が達成されない可能性があると懸念しています。
次のステップ
AB 2013の対象となる開発者は、2026年1月1日までに自身のウェブサイトで公開するための開示情報を準備する必要があります。これには、第三者から提供されたデータセットを含む、開発者のトレーニングデータセットのレビューを行うことが含まれます。開発者は、開示情報の中で誤って企業秘密やその他の競争上または専有情報を明らかにしないように注意する必要があります。
本アラートは、生成AIシステムに対する信頼性を高めるためのカリフォルニア州における法規制に関する重要なトピックであり、カリフォルニア州民が利用可能な生成AIシステムを開発する日本企業に大きな影響を有すると考えられることから紹介する次第です。詳細は、Jones Day Alert “California Bill Will Require Disclosures About Data Used in Training AI Models”(オリジナル英語版)をご参照ください。
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