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The Eu Approves the CS3D/CSDDD

三度目の正直:EUにおけるサステナビリティ・デュー・ディリジェンス指令の採択への動向

2024年3月15日、欧州理事会は、企業サステナビリティ・デュー・ディリジェンス指令案(Corporate Sustainability Due Diligence Directive = CS3D)を採択しました。指令案はEU域内の企業及びEU域内で事業を行うEU域外の企業に対し広範な影響を及ぼすデュー・ディリジェンス及びガバナンスに関する義務を含むものです。

CS3Dについては、20231214日に「政治的合意」が得られたとの発表がなされた後も二度にわたり採択に至っていなかったところ、2024315日の欧州理事会でついに採択されました。これにより、決定した文言については欧州議会による形式的な採択を残すのみとなりました。欧州理事会により採択された改訂版の文言は、EU各国による時として相矛盾するような修正の要求を盛り込もうと試みたもので、概要は、以下のとおりです。

  • 対象企業の範囲:EU域外の企業については、過去2事業年度のそれぞれにおいて、EU域内で450百万ユーロ超の純売上高を連続してあげている場合、CS3Dを遵守する義務が生じます。EU域内の企業については、上記基準に加えて、平均して1,000人超のフルタイム相当の従業員をかかえている場合にはCS3Dを遵守する義務が生じます。
  • 段階的施行:対象企業はその規模(従業員数及び全世界での売上高)に応じて今後3年ないし5年の間に段階的に(すなわち最短で2027年から)CS3Dの遵守が求められるようになります。
  • 実体的要件:対象企業は、ビジネスパートナーに対するデューデリジェンスの実施を含む、具体的に定められた多数の煩雑な要件を遵守する必要があります。
  • 責任:CS3Dの主要な条項の故意又は過失による不遵守により第三者の権利を侵害した場合、対象企業はEU各国の法制に基づき第三者責任を負うこととなります。
  • 法執行及び罰則: EU加盟国は規制当局にCS3Dを執行をする権限を付与することが求められ、その遵守と最大で全世界での売上の5%に相当する金額の制裁金を科すことを命じることが可能となります。
  • 金融セクターへの適用:限られた例外を除き、銀行を含む金融機関もCS3Dを遵守することが求められます。

デュー・ディリジェンス及びガバナンスに関する義務は第三者との契約関係への広範な波及効果を及ぼすことから、CS3Dは、対象となる企業のみならず対象外の企業にも広範囲にわたる影響を及ぼすこととなります。EU域内で事業活動を行う全ての企業は、CS3Dの適用対象となるのか、いかなる情報を提供しなければならないのか、CS3D遵守のためにいかなる対応、手続きを準備しなければならないのかを十分に理解する必要があります。

本アラートは、欧州における事業活動に関心を有する日本企業にとって有用な情報と思われることから紹介する次第です。詳細は Jones Day Alert "Third Time's a Charm: EU Moves to Approve the Sustainability Due Diligence Directive" (オリジナル英語版)をご参照ください。

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