Jones Day One Firm Worldwide

Global Legal Update Vol. 62 | 2020年12月号

ジョーンズ・デイでは、世界各国に広がる40以上のオフィスが、現地の法令や判例等の最新情報をAlert/Commentary等としてお伝えしています。その中から日系企業に特に関心が高いと思われるものを以下でご紹介します。なお、英文部分の各リンクからAlert/Commentary等の原文をご覧頂けます。

独占禁止法・競争法

オーストラリアのエネルギー規制局、報告義務違反に130万ドルの罰金を科す
Australian Energy Regulator Enforces $1.3M Pecuniary Penalty for Breach of Reporting Obligations

オーストラリアにおけるエネルギー分野の規制当局であるエネルギー規制局(「AER」)は、エネルギー小売業者から提出された実績と運営に関する情報を国へ報告する責任があります。エネルギー小売市場の運営状況を知らせることで、国の政策担当者等がその傾向を知り、消費者に対してより良い政策をとることを可能にします。エネルギー小売事業者は、国家エネルギー小売法によって、顧客数、供給停止の発生等を含む様々な業績指標に関する情報を提供する義務があります。

2019年11月、AERは、AGL Sales Pty Limitedの4つの関連会社が、2017/2018年度に関する情報について提出遅延の上、不正確であり、かつ、相当な注意を欠いて作成されたものであったとして訴えました。連邦裁判所において、AGLは訴えを認め、130万ドルの罰金(1つの会社につき325,000ドルの罰金)が相当であることに合意しました。なお、この罰金は一年間の違反に対するものでした。

Australian Energy Regulator v AGL Sales Pty Limitedにおける判決は、提出遅延のような事務的な法令違反に対してであっても、AERが執行力を有することを再認識させました。エネルギー事業者は、情報の提出にあたって遅れることなく、適切な方法で、法令で求められる様式に従って行う必要があります。それを怠った場合、罰金のリスクが生じます。また、エネルギー事業者は、法令に違反すると、AERに対し(同様に市場に対し)自社の評判を落とし、将来的に注意深く精査される可能性があることに警戒すべきです。この関係で、裁判所が罰金の査定をする際に過去に同じ様な違反があったかを考慮するため、その後の罰金の額が大きくなる可能性のあることにも注意が必要となります。

サイバーセキュリティ・プライバシー・データ保護

カリフォルニア州プライバシー権法、住民投票により採択
California Voters Adopt the California Privacy Rights Act

カリフォルニア州消費者プライバシー法(「CCPA」)の施行後1年を待たずに、2020年11月3日、カリフォルニア州は消費者プライバシーに関する住民投票を行い、その結果、カリフォルニア州プライバシー権法(「CPRA」)が承認されました。これによって、CCPAが改正され、個人の権利の追加など規制がさらに拡大されることとなります。また、消費者プライバシーに特化した施行当局となるカリフォルニア州プライバシー保護局が新しく設置されます。

CPRAの実体法規定は2023年1月1日に施行されますが、施行規則は、2022年7月1日までに制定される見込みです。CPRAとCCPAでは、対象事業者の定義も異なります。対象となる企業は、現行のプライバシー遵守プログラムを、新しい義務を取り入れるために注意深く見直す一方、今後の施行規則の制定の動向を見守っていく必要があります。

知的財産

中国、特許法の第四次改正法を公布
China Promulgates Fourth Amendment to Patent Law

2020年10月17日、全国人民代表大会常務委員会は中華人民共和国特許法の第四次改正法を公布しました。同特許法は最初に1985年に施行され、1992年、2000年、2008年にわたり、3度改正されました。今回の改正は2021年6月1日に施行されます。

この改正で初めて、国際的実務に合わせて、中国においてパテントリンケージシステムを導入するなどの、製薬関連特許に関する重要な改正がなされました。

さらに、今回の改正には以下の点が含まれます。①法定損害賠償額の増額、懲罰的損害賠償の導入、特許侵害訴訟における損害の立証責任の転換。②国家知識産権局が、国にとって重要な影響を持つ特許権侵害紛争の決定を行うことを可能とする。③意匠特許の保護範囲及び保護期間の拡大。④新規性喪失の例外として、国家の緊急又は異常事態における開示を可能とする。⑤特許権者による開放許諾の宣言を可能とする。

この改正によって、新しいパテントリンケージシステムのもとでジェネリック医薬品申請に関する特許訴訟が提起されることになり、また、保護範囲の拡大と15年に延長された保護期間に鑑みて、意匠特許申請が増える可能性があります。法定損害賠償の増額、懲罰的損害賠償の導入、特許侵害訴訟における損害の立証責任の転換は、特許権者が中国の裁判所で特許権を行使することを後押しすることになるでしょう。中国当局は、この改正を実行に移すため、現存の法体制を整備していくでしょう。

政府規制

米国大統領令による中国の「軍事企業」への米国人による特定の投資の禁止
New Executive Order Bars Certain U.S. Investments in Chinese "Military Companies"

2020年11月12日、トランプ大統領は 「共産主義中国の軍事企業に資金を提供する証券投資からの脅威に対処する」と題する大統領令を発令しました。当該大統領令は、2021年1月11日より、国防長官と財務長官が特定した「共産主義中国の軍事企業」の証券が関係する特定の種類の「取引」に米国人が参加することを禁止しています。大統領令の条項は広範ですが、この禁止措置は、対象となる企業とのすべての取引を禁止するにはほど遠いものであり、事実に応じた分析の重要性が強調されています。「取引」とは、「上場有価証券の有償での買取り」と定義されており、禁止措置は、指定企業の「上場有価証券又は当該有価証券から派生した、若しくは当該有価証券への投資エクスポージャーを提供するように設計された有価証券」の取引に適用されます。

国防総省は、これまで合計31社で構成されている「共産主義中国の軍事企業」のリストをいくつか発表しており、大統領令は、これらのリストを参照しています。また、大統領令は、財務長官と国防長官に、対象企業を追加してこれらのリストを補足する権限を与えています。大統領令は、禁止措置について猶予期間を定め、上場企業との取引については、上場企業がいつ上場されたかに応じて、特定の期間の売却を目的とした取引のみを認めることになっています。

M&A

英国における新たな対内投資審査体制の導入
New Foreign Investment Control Regime Coming to the UK

英国政府は、英国の国家安全保障にリスクをもたらす可能性のある投資に対する政府の審査と介入のための新体制を導入する法案を議会に提出しました。

議会が新法案を見込み通りに可決した場合、英国政府は、英国での売上げがあるものの英国内に物理的拠点を持たない非英国事業の買収を含め、年間1,000件以上の取引について、(i)取引完了前に英国政府への義務的な通知が必要とされる(取引完了前のクリアランスを待たなければならない。)、(ii)自発的な通知がなされる、又は(iii)自発的な通知がなされない場合、場合によっては、取引完了後5年間、遡及的な審査を受け、取引に条件が課されるか取引が解消される可能性がある、と予測しています。

現在から新法が施行される日(2021年の見込み)までの間に締結される取引は、取引完了後に英国政府の審査を受ける可能性があります。影響を受ける17分野で事業を営む企業の投資家は、状況によってはアドバイザーとの協議をした上で、投資が終了した後の2021年の望まざる英国政府の介入を避けるために、現時点において英国政府と対話を開始した方が良いかもしれません。

その他、2020年11月は以下の情報をAlert/Commentary としてお伝えしています。

フィナンシャル・マーケット

オーストラリアにおける会社及び証券法制に関する最新情報:第1号
Australian Company & Securities Update | Issue One

ニューヨーク州金融サービス局及び欧州銀行監督局によるESG(環境・社会・ガバナンス)に関するガイダンスの公表
New York Department of Financial Services and European Banking Authority Publish ESG Guidance

大きな転換期を迎えるLIBOR移行:2020年の動向の再確認及び2021年を迎えるに当たっての留意点
The Great Transition: A 2020 LIBOR Transition Recap and Things to Keep in Mind as We Approach 2021

事業再編・倒産

イギリスにおける会社管理下での資産売却がさらなる審査の対象に
Administration Sales to Be Subject to Further Scrutiny in the United Kingdom

欧州における取締役の義務の概要:金融危機とCOVID19
Directors' Duties—A European Overview: Financial Distress and COVID-19

サイバーセキュリティ・プライバシー・データ保護

Schrems II判決後の国際的データ移転への対応
Ensuring International Data Flows after Schrems II

エネルギー

気候変動に関するレポート(2020 年第 4 四半期版)
The Climate Report - Fourth Quarter 2020

カリフォルニア州知事、100%のゼロエミッション車の販売への移行を義務付ける行政命令を発表
California Governor Issues Executive Order Requiring Transition to 100% Zero-Emission Vehicle Sales

オーストラリアで提起された集団訴訟は、世界の若者のために石炭拡張プロジェクトに反対する
Class Action Suit Filed in Australia Opposes Coal Expansion Project on Behalf of Global Youth

欧州委員会、2030年気候目標計画を発表
European Commission Announces 2030 Climate Target Plan

米国連邦エネルギー規制委員会の法執行の施行報告書は最も緩やかな年を反映しており、2021年には活発化する可能性がある
FERC Enforcement Report Reflects Slowest Year—Uptick Likely In 2021

フランス政府の復興計画の重要な要素としての産業の脱炭素化
Industrial Decarbonization as a Key Element of French Government's Recovery Plan

レンジリソーシズ(Range Resources)、2025年までに温室効果ガスの直接排出量をゼロにする目標を発表
Range Resources Announces Goal of Net-Zero Direct Greenhouse Gas Emissions by 2025

訴訟・紛争解決

気候変動リスクに関する豪州退職年金ファンドに対する訴訟で画期的な和解
Landmark Settlement of Lawsuit Against Australian Superannuation Fund Over Climate Change Risks

保険補償

南アフリカの保険契約者、COVID-19による事業中断保険の保険求償に関して勝訴
South African Policyholders Secure Victory for COVID-19-Related Business Interruption Insurance Coverage

知的財産

米国特許商標庁の報告書が米国の発明とイノベーションに対するAIの重要性を強調
USPTO Reports Highlight Importance of AI to U.S. Invention and Innovation

営業秘密の保護が反社会的行為となる:ウォルター・ホワイトのケーススタディー(デイリー・ジャーナル)
Trade Secret Protection Gone Rogue: The Walter White Case Study (Daily Journal)

証券訴訟・証券法規制執行

違法経営を調査するための「信頼できる根拠(Credible Basis)」:デラウェア州会社法第220条に基づく株主による会計帳簿の閲覧権に関する発展
"Credible Basis" to Investigate Mismanagement: Developments in § 220 Books-and-Records Inspections

税務

米サンフランシスコ:過大役員給与に係る総収入税法案が可決
Overpaid Executive Gross Receipts Tax Approved in San Francisco

調査・企業犯罪

中南米におけるFCPA関連の近時の動向
Recent FCPA Developments for Latin America

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