インサイト

Dutch_Government_Plans_Retroactive_Foreign_Invest

オランダ政府が計画するCOVID-19危機を考慮した遡及的な対内投資の審査

2020年6月2日、オランダ政府は、同年第4四半期に国会に提出し、採択予定の立法案に関して、同日以降に実施される対内投資を遡及的に審査する計画を発表しました。オランダ政府は、立法案の遡及適用の理由として、COVID-19危機及びCOVID-19危機を踏まえた投資審査の強化を求める直近の欧州委員会のガイダンスを挙げています。

2019年末、オランダ政府は、国会に対し、より包括的に対内直接投資を審査する体制を規定する立法案を採択する意向を伝えました。他の EU 加盟国とは異なり、オランダでは現在特定のセクター(例:ガス・電力)毎に対内直接投資を審査する体制を採用しているため、立法案が採択されればオランダにおける対内直接投資の審査が行われる可能性が大幅に拡大します。また立法案は、重要インフラを提供する企業やハイエンドのセンシティブな技術に積極的に取り組む企業への投資を対象とし、投資に先立ち、主務大臣がリスク分析を実施することを可能にするための届出義務を規定しています。

立法案の発効後は、2020 年 6 月 2 日以降に実施される立法案の対象となる対内投資が事後審査の対象となり、最終的には取引の巻き戻しを含む措置が課せられる可能性があります。そのため、この立法案の遡及適用により、投資家においては、現在係属中の取引や提案されている取引について、現時点において既に慎重に検討することが求められているといえます。

本アラートは、新型コロナウィルス(COVID-19)による危機下において海外からの投資を規制しようとする世界的な動きがオランダでも起きていることを示すものであり、海外投資を考えている日本企業にも関心のあるトピックと考えられることから、紹介する次第です。詳細は、Jones Day Alert “Dutch Government Plans Retroactive Foreign Investment Screening in View of COVID-19 Crisis”(オリジナル英語版)をご参照下さい。

ジョーンズ・デイの出版物は、特定の事実関係又は状況に関して法的助言を提供するものではありません。本書に記載された内容は、一般的な情報の提供のみを目的とするものであり、ジョーンズ・デイの事前の書面による承諾を得た場合を除き、他の出版物又は法的手続きにおいて引用し又は参照することはできません。出版物の転載許可は、www.jonesday.comの“Contact Us”(お問い合わせ)フォームをご利用ください。本書の配信、および受領により弁護士と依頼人の関係が成立するものではありません。本書に記載の見解は執筆担当者の個人的見解であり、当事務所の見解を反映したものではありません。