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ジョーンズ・デイ・コメンタリー:米下院、税制改革法原案を発表

米下院歳入委員会は、2017年11月2日、待望の抜本的税制改革法の原案である「減税及び雇用法」(以下「本原案」)を発表しました。本原案では、2017年9月27日にトランプ政権が発表した税制改革案(ジョーンズ・デイ・コメンタリー:「トランプ政権、抜本的税制改革案を発表」を参照)に含まれていたいくつかの重要項目の詳細が提案されています。例えば、連邦法人税率について、35%を最高税率とする現行の累進税率から20%の比例税率への移行、個人やパートナーシップ等により営まれる小規模事業の所得に対する軽減税率(25%)の適用が受動的所得に限られること、さらに、米国法人株主の持株割合が10%以上の外国子会社を通じて得た所得を全額益金不算入とするテリトリアル方式について、米国法人株主が当該外国子会社の株式を180日以上所有していたとを要件とすること、などが提案されています。

さらに、テリトリアル方式への移行に伴って予想される税源浸食への対抗措置が提案されていることが注目されます。かかる対抗措置には、①米国会社の外国子会社の所得のうち、通常のリターン(約8.5%)を超えるハイ・リターン部分について、当該米国会社の所得と合算すること、および②連結会計の対象となっている国際的企業グループに含まれる米国会社が、同じグループ内の外国会社に対して米国税法上損金に算入される支払いを行った場合、原則として20%の特別税が課されること、が含まれます。とりわけ上記②につきましては、米国に子会社を有する日本の親会社が、当該米国子会社から支払いを受ける場合にも適用のあり得るものであり、今後の動向が注目されます。

今後は、米下院歳入委員会による本原案の修正が行われるとともに、米上院も独自の税制改革法案を発表し、それらの調整が行われる予定です。トランプ大統領は、クリスマス前までには議会で可決された法律案に署名し、発効させたい意向を示しています。

詳細は、Jones Day Commentary " House of Representatives Releases First Draft of Tax Reform Bill" (オリジナル(英語)版)をご参照ください。