ジョーンズ・デイ・アラート:中国国家食品薬品管理局による医薬品登録管理弁法の改正

2016年7月25日、中国国家食品薬品監督管理局(China Food and Drag Administration、以下「CFDA」)は、中国医薬品登録管理弁法(DRR)の改正案を公開し、パブリックコメントを求めました。以下に述べるとおり、この改正法には、新薬の審査・承認期間を短縮し、試験の品質を向上させる新たなルールが規定されています。他方、この改正案は、中国において医薬品のイノベーションを行うために必要となる知的財産の保護という点については、改善の余地が残されているものといえます。

優先審査制度
DRR改正案の第16条は、承認審査期間を短縮し、新薬承認申請の審査の効率性を向上させる優先審査制度を規定しています。この制度は、CFDAが2016年2月に発表した「優先審査制度の実施及び医薬品登録申請の遅滞の解決に関する意見書」に示された計画を実現するものです。

この計画では、以下の3種類の医薬品が優先審査の対象となるとされています。

(1) 一定の条件を満たす重要な治療効果のある医薬品。例えば、国内市場及び海外市場において発売されていない革新的な医薬品の承認申請、3年以内に特許権の存続期間が満了する医薬品の治験申請、1年以内に特許権の存続期間が満了する医薬品の販売承認申請等が含まれます。
(2) HIV、結核、ウィルス性肝炎を含む、一定の疾病を治療し、又は予防する医薬品。
(3) 喫緊のアンメット・メディカル・ニーズに対処する医薬品及び不足している医薬品。

2016年9月現在、CFDAは、40以上の医薬品を優先審査の対象と認めています。

データ保護制度の不存在
現行のDRR第20条は、データ保護制度について規定しています。すなわち、CFDAは、承認日から6年を経過していない新薬について、開発者の承認のない非公開データを用いた申請を認めてはならない旨を規定しています。改正案では、このデータ保護制度は廃止されるとされています。関連する規定である改正案の第66条は、申請者に対しては、登録申請に用いた研究資料及びデータに関する権利を自ら保有していない場合、CFDAに対して当該研究資料及びデータについてのライセンス契約を提示することを求めていますが、CFDAに対しては、データの排他的保護期間中は当該申請を拒絶することを求めていません。

パテントリンケージ制度の不存在
現行のDRR第19条は、ジェネリック医薬品の申請者は、特許権の存続期間が満了する2年前から登録申請を行うことができ、CFDAは、特許権の存続期間が満了した後に承認をすることができると規定しています。これに対し、DRR改正案は、2年間の制限を廃止しています。さらに問題なことに、改正案は、CFDAに対し、特許権の存続期間が満了するまでの間、ジェネリック医薬品申請の承認を留保することを求めておらず、特許権者とジェネリック医薬品申請者との間の紛争は、特許法により解決すべきであるとしています。このDRR改正案の不明確な点は、医薬品の発見及び開発に関する投資を回収するための独占的な期間を確保することにつき、特許権による保護に依拠しようとする新薬開発事業者を、不安定な立場に立たせるものであるといえます。

新薬の審査・承認期間の短縮が見込まれることは、外資系企業が国際共同治験に中国を組み込むことを検討することを促進するものであるといえます。他方で、外資系企業は、事業者団体及び政府とともに、医薬品に係る発明について知的財産権による保護を強化することについて、中国に働きかけるべきであるといえます。
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