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ジョーンズ・デイ・コメンタリー:フランス腐敗行為防止規制当局が自らが調査する際に企業に要求する情報を公表

2016年12月9日に成立したサパンII法(Sapin II Law)に基づき公開された、腐敗行為防止にかかるコンプライアンス・プログラムの実施に関するガイドラインに引き続き、フランス腐敗行為防止規制当局(Agence Française Anticorruption)は、自らが企業のコンプライアンス・プログラム実施状況等について調査する際に、企業において回答することが求められる情報及び提供することが求められる書類に関するリストを公表しました。対象となるのは、サパンII法のもとでコンプライアンス・プログラム実施義務を課される法人(例えば、フランスにおいて500名以上の従業員を有する法人等)です。また、親会社が上記のコンプライアンス・プログラム実施義務を課される場合には、子会社についても同様の義務が課されます。

上記の情報及び書類に関するリストの公表は、規制当局がコンプライアンス・プログラム実施状況について調査する際に、どのような問題や情報を重視しているのかを示す手がかりとなるものです。その意味で、当該リストは、企業にとっても当該調査に向けて十分な準備をすることの助けになるものです。また、リストは、企業がコンプライアンス・プログラムを自ら見直し、サパンII法に準拠した社内の方針や手続を策定し、実施することの助けになるものでもあります。規制当局の調査は2017年10月10日より、ランダムに選ばれた非公開企業から始まっており、規制当局は間もなく上場企業についても調査を始めることを発表しています。規制当局が求める情報は多く、また、短期間での提供を求められることから、対応が不十分な企業は調査が開始されるや困難に直面することになるでしょう。

本コメンタリーは、フランスで事業を行う日本企業にとっても有用な情報ですので紹介します。詳細は、Jones Day Commentary “French Anti-Corruption Agency Publishes Information Expected from Companies During Agency Inspections”(オリジナル(英語)版)をご参照ください。

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