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ジョーンズ・デイ・コメンタリー:イギリス政府、M&A取引審査にかかる改正法案を公表

イギリス政府は2017年10月17日、企業法(Enterprise Act)の改正等により、M&A取引審査にかかる新ルールの導入を公表しました。本改正により、イギリス企業の買収等、同国企業に関するM&A取引について、政府の監督権限が拡大・強化されます。現行法では、同国政府による審査や取引を阻止する権限は、①安全保障に影響しうる取引、複数メディアの兼業を生じるような取引、金融市場の安定性に影響しうる取引など特定の取引について、②イギリス国内で7,000万ユーロ(9,200万USドル)を超える売上を有する同国企業の買収、③合併等の両当事者合わせて、同国内の一定の取引分野において25%以上のシェアを有し、合併等によりシェアが増加するような取引といった場合に限定されていました。また、当事者による事前届出はあくまで任意とされており、届出の有無に関わらず、取引実行後4カ月以内に政府は審査及び処分を行うこととされていました。

今回公表された改正法案では、一定の取引に事前届出義務を課すこと、軍事産業、軍民両用機器産業、先端技術産業などの分野についても審査対象とすること、上記②の売上基準を100万ユーロ(130万USドル)まで引き下げること、上記③の要件のうち、合併等によるシェアの増加を要件から除外すること(すなわち、国内で既に25%以上のシェアを有している企業を買収する場合には全て③の要件を満たす)などが提案されています。本改正案は、一部について2017年11月14日まで、残りについて2018年1月9日まで、意見募集の手続きに付されます。

本コメンタリーは、イギリスへの投資を検討する日本企業、イギリスで事業を行う日本企業等にとっても有用な情報ですので紹介します。詳細は、Jones Day Commentary “UK Government to Reform M&A Rules to Protect National Security”(オリジナル(英語)版)をご参照ください。