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ジョーンズ・デイ・コメンタリー:香港当局によるデジタル・トークン及び仮想通貨取引所の取り締まり強化

以前お伝えしたとおり、近時のイニシャル・コイン・オファリング及びデジタル・トークンの人気の高まりを受け、香港証券先物委員会(以下「SFC」)は、2017年9月5日付及び同年12月11日付の声明において、デジタル・トークンへの投資に関する潜在的リスクについて注意喚起するとともに、かかるデジタル・トークンが証券先物規則(以下「SFO」)に基づき規制される「有価証券」に該当しうる旨を強調しました(末尾の関連記事参照)。

続く2018年2月9日、SFCは、SFO上の「有価証券」の取引を無許可で行った疑いで、7つの仮想通貨取引所を調査したことを公表しました。これらの取引所は、いずれも、有価証券の取引を意図的に行ったことはない旨を確認したか、又は、香港の居住者からのアクセスを遮断するなどの是正措置を即座に講じたとされています。

また、同年3月19日、SFCは、Black Cell Technology Limited(以下「Black Cell社」)に対する規制上の措置を公表しました。Black Cell社は、(香港市民によるアクセスが可能な)自社のウェブサイト上において、KROPSデジタル・トークンの宣伝を行い、その販売による収益をモバイルアプリの開発のための資金として使用すると喧伝していました。SFCによる調査の後、Black Cell社は、無許可で有価証券の取引を実施したとの懸念を踏まえ、KROPSトークンの販売を中止し、香港の消費者との間の取引を全て取り消すことに合意しました。

SFCは、KROPSトークン以外の他の複数のデジタル・トークンの発行者についても、SFO及び会社規則を遵守せずに有価証券の勧誘又は取扱いを行っていないか、調査を行っているとされています。これらの規則違反には厳しい罰則が設けられており、例えば、無許可で有価証券の取引を行った者には、500万香港ドル(約6700万円)以下の罰金又は7年以下の懲役が科せられます。

本コメンタリーは、近時注目を集める仮想通貨に関し、日本企業にとっても有用な情報ですので、紹介します。詳細は、Jones Day Commentary “Hong Kong Cracks Down on Digital Tokens and Cryptocurrency Exchanges” (オリジナル(英語)版)をご参照下さい。


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