インサイト

ジョーンズ・デイ・ホワイト・ペーパー:フランス、非上場会社等多くの法人につき実質的所有者の登記が必要に

EUマネー・ロンダリング指令の成立を受けて、ドイツにおいて新たなマネー・ロンダリング取締法が成立し、あらゆる法人等に対し、その実質的所有者を登記する義務が課されました(関連記事参照)。今回、フランスにおいても同様に、マネー・ロンダリングやテロ活動の資金調達を防止するため、法人の実質的所有者について登記義務を課す法改正がなされました。

登記義務の主体となるのは、あらゆる非上場会社(société civile及びsociété commerciale)、フランス国内に支店を持つ外国法人等(以下「対象法人等」)であり、その実質的所有者である自然人につき、氏名、住所、実質的所有の方法等を記載した書面を提出する必要があります。なお、提出の期限は、一部の例外を除き、2018年4月1日までとされています。当該期限までに登記を行わなかった場合や登記の内容に虚偽があった場合などは、対象法人等の代表者につき、6カ月の懲役及び7,500ユーロの罰金、また対象法人等につき3万7,500ユーロの罰金という厳しい罰則が規定されています。したがって、対象法人等に該当する場合には早急に提出の準備を進める必要があります。

また、現時点では上場会社の(非上場)子会社も対象法人等に含まれ、登記義務が課されているため、フランス国外の上場会社にとっても多大な影響を及ぼす可能性があります。特に外国法人について、どういった法人が対象法人等に含まれるのか、また上場企業が最終親会社であった場合に、どのような基準で自然人である「実質的所有者」を選択すべきかといった点など、未だ不明確な点も多く存在し、それらの点については今後公表される指針等を注視する必要があります。

本コメンタリーは、フランスへの投資を検討する日本企業、フランスで事業を行う日本企業等にとっても有用な情報ですので紹介します。詳細は、Jones Day White Paper “France Establishes Register of Beneficial Owners of Corporations and Other Entities”(オリジナル(英語)版)をご参照ください。

【関連記事】
• New German Money Laundering Act Introduces Beneficial Ownership Register (Treansparenzregister) (ドイツ、新たなマネー・ロンダリング取締法の成立により、あらゆる法人について実質的所有者の登記が必要に)