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ジョーンズ・デイ・アラート:米国連邦取引委員会が問題解消措置に関するレポートを公表

米国連邦取引委員会(以下「FTC」という。)は2017年2月、合併等にかかる問題解消措置(合併等により生じる競争制限効果に対して競争を回復し、または維持するための措置のこと)についてのレポートを公表しました。本レポートは、FTCが2006年から2012年の間に命じた問題解消措置計89件について、当事者、事業の譲受人、その他市場関係者からの聞き取り、データの分析等により、その効果を事後的に分析したものです。

本レポートによると、聞き取り等詳細な調査をした50のケースのうち約80%の問題解消措置は満足のいく効果が得られたとされていますが、その他のケースについて、FTCは十分な効果が得られなかったと評価しました。これら十分な効果を得られなかったと評価したケースを分析することにより、FTCがどのような点を重視しているか、将来どのような問題解消措置を要求するかについて知ることができます。

このレポートからFTCは、問題解消措置について、以下のような点を重視していることが分かります。
①事業の一部の資産の売却より現在営んでいる事業全体の売却を優先する。
②売却事業の買い手は、それを買収する十分な資力を有しているか、またはその資金調達が十分出来るか。
③売却事業の買い手が、実際に承継した事業を行うために、譲渡当事者が十分なバックオフィスその他の支援をするか。

今後、FTCは、当事者が提案する問題解消措置が上記の点を充足しているか否かについて、より厳しい審査をすることが予想されます。なお、本レポートはあくまで、FTCが命じた問題解消措置についてのものであり、もう1つの競争当局である米国司法省の行った措置については分析していません。なお、米国司法省もこのレポートが述べている方針に従うことになると考えられます。

上記は、米国で企業買収を検討している日本企業等にとっても有意義な情報ですので、紹介します。詳細は、Jones Day Alert “FTC Merger Remedies Report Signals Tougher Enforcement”(オリジナル(英語)版)をご参照ください。