ジョーンズ・デイ・アラート: アクタビス事件後の初めての「リバースペイメント」に関する陪審裁判において製薬企業に有利な判断
米国マサチューセッツ州連邦地方裁判所の陪審員は、本年12月5日、In Re Nexium (Esomeprazole) Antitrust Litigation事件において、製薬企業間のいわゆる「リバースペイメント」に関する和解契約が米国反トラスト法に違反するものではないと判断しました。
本件は、米国において医薬品ネキシウムを直接又は間接的に購入した者が、ネキシウムの製造業者であるアストラゼネカ社とネキシウムのジェネリック医薬品を販売しようとしたランバクシー社らとの間で締結された「リバースペイメント」による和解契約が、米国反トラスト法(Sherman Act)に違反するものであるとして提起した訴訟です。
いわゆる「リバースペイメント」による和解契約とは、ブランド医薬品企業が、当該医薬品の特許が無効である等として特許にチャレンジするジェネリック医薬品企業に対して一定の補償を提供し、その代わりに、ジェネリック医薬品企業が、特許へのチャレンジを取り止めたり、ジェネリック医薬品の販売を販売可能日から一定期間遅らせて開始することに合意する契約を指します。米国最高裁判所は、本件に先立つアクタビス事件において、「合理の原則(rule of reason)」により判断すると「リバースペイメント」による和解契約は、潜在的に競争制限の可能性があると判示していました。本件は、この最高裁判所判決後の初めての「リバースペイメント」による和解契約に関する陪審裁判となりました。
陪審員は、本件において、アストラゼネカ社がネキシウムについて市場支配力を有していたこと、本件の「リバースペイメント」による和解契約には巨額かつ正当化し得ない支払い(large and unjustified payment)が定められていたこと、当該和解契約は合理的とは言えない程度に競争制限的な行為であり、その競争制限的効果は競争促進的効果によっては打ち消しえないものであることを認定しました。しかし、陪審員は、最終的に、ランバクシー社が、競争制限的な当該和解契約がなかった場合には、当該和解契約において合意されたジェネリック医薬品の販売開始日よりも早期に市場に参入することができたという事実を認定することはできなかったとし、原告の主張を退けました。 本件は、「リバースペイメント」による和解契約を巡る判断において、現に生じている事実と「リバースペイメント」による和解契約との因果関係が依然として重要な要件であり、原告には当該因果関係について立証責任があることを明らかにしました。即ち、原告には、当該和解契約がなければ生じていたであろう事実について立証責任があり、本件はその立証責任の負担が重いことを浮き彫りにしたと言えます。
この裁判は、米国において事業を行う日本の製薬企業に影響を与える可能性があることから、ご紹介いたします。詳細は、Jones Day Alert “Jury Finds for Drug Manufacturers in First Post-Actavis “Reverse Payment” Trial”(オリジナル(英語)版)をご参照ください。
本件は、米国において医薬品ネキシウムを直接又は間接的に購入した者が、ネキシウムの製造業者であるアストラゼネカ社とネキシウムのジェネリック医薬品を販売しようとしたランバクシー社らとの間で締結された「リバースペイメント」による和解契約が、米国反トラスト法(Sherman Act)に違反するものであるとして提起した訴訟です。
いわゆる「リバースペイメント」による和解契約とは、ブランド医薬品企業が、当該医薬品の特許が無効である等として特許にチャレンジするジェネリック医薬品企業に対して一定の補償を提供し、その代わりに、ジェネリック医薬品企業が、特許へのチャレンジを取り止めたり、ジェネリック医薬品の販売を販売可能日から一定期間遅らせて開始することに合意する契約を指します。米国最高裁判所は、本件に先立つアクタビス事件において、「合理の原則(rule of reason)」により判断すると「リバースペイメント」による和解契約は、潜在的に競争制限の可能性があると判示していました。本件は、この最高裁判所判決後の初めての「リバースペイメント」による和解契約に関する陪審裁判となりました。
陪審員は、本件において、アストラゼネカ社がネキシウムについて市場支配力を有していたこと、本件の「リバースペイメント」による和解契約には巨額かつ正当化し得ない支払い(large and unjustified payment)が定められていたこと、当該和解契約は合理的とは言えない程度に競争制限的な行為であり、その競争制限的効果は競争促進的効果によっては打ち消しえないものであることを認定しました。しかし、陪審員は、最終的に、ランバクシー社が、競争制限的な当該和解契約がなかった場合には、当該和解契約において合意されたジェネリック医薬品の販売開始日よりも早期に市場に参入することができたという事実を認定することはできなかったとし、原告の主張を退けました。 本件は、「リバースペイメント」による和解契約を巡る判断において、現に生じている事実と「リバースペイメント」による和解契約との因果関係が依然として重要な要件であり、原告には当該因果関係について立証責任があることを明らかにしました。即ち、原告には、当該和解契約がなければ生じていたであろう事実について立証責任があり、本件はその立証責任の負担が重いことを浮き彫りにしたと言えます。
この裁判は、米国において事業を行う日本の製薬企業に影響を与える可能性があることから、ご紹介いたします。詳細は、Jones Day Alert “Jury Finds for Drug Manufacturers in First Post-Actavis “Reverse Payment” Trial”(オリジナル(英語)版)をご参照ください。