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ジョーンズ・デイ・コメンタリー:合併に関するサイド・レターにつき、HSR届出に含めなければならないことが明確に

米国連邦取引委員会(Federal Trade Commission)(以下「FTC」)は、ハート・スコット・ロディノ法(Hart-Scott-Rodino Act)に基づく企業結合届出(以下「HSR届出」)において、いわゆる「反トラスト・サイド・レター」についても提出の対象となることを明確化しました。

より具体的には、FTCは、近時のプレス・リリースにおいて、HSR届出では、当事者間の合意を規定する一切の書面が提出されなければならず、かかる書面には、特に、当事者の競争法審査における義務、リスク分配に関する確約、潜在的な問題解消措置等を規定する法的拘束力を有する合意書も含まれるとの立場を明確にしました。

かかるサイド・レターについて、主たる契約に附随するものに過ぎないことや、共通の利益の法理(common interest doctrine)や共同防御契約(joint defense agreement)に基づく秘匿特権の対象となることなどを理由としてその提出を回避することはできないとされています。

現時点では、HSR届出におけるサイド・レターの不提出を理由として、法執行手続(エンフォースメント・アクション)が実施された例はありません。しかしながら、FTCがサイド・レターの提出に関する立場を明らかにしたことにより、今後、届出者がHSR届出においてサイド・レターを提出しなかった場合、FTCは制裁金等の罰則を課す可能性が高いものと思われます。

したがって、案件の交渉中である当事者は、その交渉中において、各当事者の競争法審査における義務、リスク分配に関する確約、潜在的な問題解消措置等を規定するサイド・レターを作成するか否か、また、作成するとしてもいつ作成するかにつき、慎重に検討する必要があります。作成された場合、潜在的な制裁やHSR届出の不受理を回避するため、当該サイド・レターをHSR届出とともに提出する必要があります。

本コメンタリーは、米国で企業買収や事業を行う日本企業等にとって有用な情報ですので、紹介します。詳細は、Jones Day Commentary “All Merger Side Letters Must Be Included in HSR Filings” (オリジナル(英語)版)をご参照下さい。