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ジョーンズ・デイ・コメンタリー:米国証券取引委員会の新サイバー・ユニットによる濫用的イニシャル・コイン・オファリングの摘発

米国証券取引委員会(以下「SEC」)は、サイバー・スペース上の不正行為に対する法執行手続(エンフォースメント・アクション)を専門的に取り扱う特別ユニットを設立しました。

新設されたSECの「サイバー・ユニット」は、近時、2つのイニシャル・コイン・オファリング(以下「ICO」)のプロモーターに対し、当該ユニット初の法執行手続を実施しました。これは、SECの執行部門が当該分野における初の法執行手続を実施してから(末尾の関連記事①参照)、約2か月後のできごととなります。

まず、第一の事件においては、PlexCoin ICOのプロモーターが、連邦証券法に違反して無登録の有価証券の募集を行い、かつ、個人投資家から金銭を詐取するための詐欺的スキーム(これらの個人投資家に対しては異常かつ幻想的なリターンが約束されていました。)を構築したとの理由で提訴されています。また、第二の事件においては、Munchee ICOのプロモーターが、連邦証券法に違反して無登録の有価証券の募集を行ったことを認め、和解に合意しています(なお、当該事件では、詐欺的行為は行われていませんでした。)。

これらの法執行手続におけるSECの考え方に従えば、発行当初において何らの機能も有していないトークンは有価証券に該当すると判断される可能性が高く、その発行につき、連邦証券法に基づく登録がなされておらず、また、適用除外事由にも該当しない場合、SECによる摘発の対象となりえます。また、発行当初から実用的用途を有するトークンであっても、SECによって有価証券であるとみなされる可能性は否定できません。特別ユニットが設立されたこともあり、SECによるICOに対する更なる法執行がなされる可能性が高いと思われます。

本コメンタリーは、米国のみならず世界的に増加するICOに関し、日本企業にとっても有用な情報ですので、紹介します。詳細は、Jones Day Commentary “Crackdown: SEC's New Cyber Unit Targets Blockchain and ICO Abuses” (オリジナル(英語)版)をご参照下さい。

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