インサイト

ジョーンズ・デイ・コメンタリー:欧州委員会、デジタル・シングル・マーケットの構築を優先

2015年5月以来、欧州委員会はデジタル・シングル・マーケットの構築を重要な目標と位置づけてきました。同委員会は、Eコマースなどのデジタル市場において、消費者及び事業者が加盟国間の国境を越え、製品や役務にアクセスでき、競争的価格でそれらを購入できるようになることを目指しています。

このようなデジタル・シングル・マーケットの構築には、規則等の整備及び競争法の執行といった2つの側面からの施策が不可欠といえます。競争法に関する観点から、欧州委員会は2015年5月より、Eコマース市場の調査を開始し、2016年9月には同調査に基づく予備的報告書をまとめました。その中でデジタル・コンテンツに係るオンライン上の頒布に関し、契約による規制、特に市場分割が広汎になされていると指摘しています。さらに、2017年2月には、家庭用電化製品産業、ビデオゲーム産業、旅行産業の3分野の企業に対し、それぞれ審査を開始しました。この審査は、一定のオンラインセールスにおける実務が消費者及び事業者にとり、これらの製品及び役務を国境を越え競争的価格で購入できるか、とりわけ再販売価格維持、地域による差別、市場分割としてEU競争法に反しているか否かを検証することを目的としています。

なお、2018年の早い時期に、オンラインコンテンツのポータビリティに関する規則がEU加盟国において施行される予定です。今後も欧州委員会は、デジタル・シングル・マーケットの構築に向け、同様の審査や施策を進めていくものと考えられます。

本コメンタリーは、欧州で事業を行う日本企業にとっても有用な情報ですので紹介します。詳細は、Jones Day Commentary “European Commission Prioritizes Completion of Digital Single Market”(オリジナル(英語)版)をご参照ください。