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ジョーンズ・デイ・コメンタリー:米連邦巡回控訴裁判所、仲裁廷ではなく裁判所がクラス仲裁に関する仲裁適格の判断権限を有するとの決定

2016年1月5日、米国連邦第三巡回区控訴裁判所は、クラス仲裁(クラスアクションとして行われる仲裁手続)の実施を当事者が合意していたか否かという仲裁適格の問題について、仲裁廷と裁判所のいずれが判断権限を有するのかをめぐって争われた事件(Chesapeake Appalachia, LLC v. Scout Petroleum, LLC, No. 15-1275, 2016 U.S. App. LEXIS 42 (3d Cir. Jan. 5, 2016))において、仲裁廷ではなく裁判所が判断権限を有するとの決定を下しました。

本件の当事者はクラス仲裁を申し立てていましたが、仲裁合意にはクラス仲裁への言及はなく、また仲裁適格の判断権者についても規定していませんでした。類似事案において連邦地裁の判断が分かれる中で、米国連邦第三巡回区控訴裁判所は、クラス仲裁の実施に関する当事者間の合意の有無という仲裁適格の問題については、当事者が疑いの余地がない形で仲裁廷が判断権限を有していると合意している場合を除き、裁判所が決定すべきと判示しました。二当事者間の仲裁の場合、仲裁合意があれば仲裁廷が仲裁適格について判断することを当事者は合意したものと判断されるのが一般的でしたが、連邦第三巡回区控訴裁判所はクラス仲裁に係る合意について反対の判断を示しました。

この決定は、米国法を準拠法とする契約に関連して本件のようなクラス仲裁の仲裁適格に関する紛争の発生を回避し、意図したとおりの仲裁手続を実現するためには、クラス仲裁の実施の有無や仲裁適格の判断権者の問題などを仲裁合意に明確に規定しておくべきことを示唆するものであり、仲裁条項を検討する上で参考になることから紹介するものです。

詳細は、Jones Day Commentary “Third Circuit Rules that Courts, not Arbitration Panels, Have Final Word on Class Action Arbitrability” (オリジナル(英語)版)をご参照ください。