ジョーンズ・デイ・アラート:医薬品企業に対する米国の法執行活動
医薬品産業は、米国経済の中でも最も高度に規制されたセクターの一つであり、2015年、私たちは米国食品医薬品局(”FDA”)及び米国司法省(”DOJ”)によって開始された多くの法執行活動の中でその証拠を目にすることになりました。これは主として会社に向けられたものでしたが、いくつかの事案では個人も対象になりました。とりわけ、DOJは、米国食品医薬品及び化粧品法(”FDCA”)の違反に関する法執行活動の実施とともに、米国虚偽請求取締法(”FCA”)事件を引き続き追及しました。法執行は、典型的にはFDAによる行政上の活動やDOJによるFCAに係る活動を通じて実施されます。
FDAによる行政上の活動は典型的には以下の形式を取ります。
Form 483レター:製造施設の査察中にFDAが見出した所見を含み、会社がFDCAに違反しているかもしれないことを示すものです。
警告状(Warning Letters):会社のFDCA違反に係る記述を含むものです。もし当該違反が迅速に是正されなければ、民事差止、同意判決、回収及び/又は金銭的制裁などの、より重大な法執行活動につながるおそれがあります。
無題レター(Untitled Letters):必ずしも警告状のレベルに達するものでもなく、FDAのウェブサイトに公表される場合もある(されない場合もある)違反を指摘するFDAからの当初の応答です。
また、FDAは、回収を開始し、違反医薬品を押収し、米国外の企業に輸入警告(Import Alert)を発し、DOJと共同してFDCA違反に対して民事差止及び金銭的制裁を要求することもあります。
DOJが開始したFCA事件によって、過去5年間、米国政府は数十億米国ドルも回復することになりました。2015年のFCAによる回復額は2014年の回復額である23億米国ドルに及ばない可能性があるものの、2016年においてもFCAは引き続きDOJにとって重要な法執行のツールとなるものと思われます。FCAは、知りながら、政府による支払いのために不正又は詐欺的な請求を行い又は行わさせることを禁じています。当該請求には、メディケア及びメディケイドのような米国政府ヘルスケアプログラムからの支払いを含みます。
2015年、医薬品企業に対する米国政府の法執行活動の重点領域は、(1)cGMP違反、(2)反キックバック法、(3)オフラベルでの販売促進及び(4)ソーシャルメディアでした。
cGMP違反
cGMP違反は、典型的にはFDAによる製造施設の査察中に発見されます。欠陥は、当該違反の重大性に応じて、Form 483又は警告状において所見として述べられます。2015年末までで、FDAは100以上の警告状を発出する見込みであり、その大多数はcGMP違反によるものです。また、FDAは、一般的に、ウェブサイト上に誤解を招くコンテンツを掲載した会社や、不正表示の医薬品を販売する会社に対しても警告状を発出していますので、この点についても留意が必要です。
反キックバック法
連邦反キックバック法(”AKS”)は、連邦ヘルスケアプログラムによって支払いがなされるビジネスを誘因するために報酬を提供し、支払い、要求し、又は受け取った会社又は個人に対して刑事罰を科すものです。2015年、米国保健福祉省の監察総監室(”OIG”)は、医師に対して、医師の金銭の取り決めがどのようにしてAKS上の個人責任を発生させるかについて警告すべく新たに詐欺警告状(fraud alert)を発出しました。2016年、OIGは、DOJと協力して、引き続き医師の金銭関係について精査することになるものと思われます。
オフラベルでの販売促進
中でも群を抜いてオフラベルでの医薬品の販売促進が法施行活動の射程に入っており、その結果として、過去5年間において医薬品企業に対して最も大きなペナルティーをもたらすことになりました。これは、典型的には、FCAの定めに従ってDOJや州の司法長官によって開始されるものであり、医薬品企業がFDAの承認外の用途で医薬品を販売促進したことや、メディケアのような政府プログラムが不正な請求に対して支払ったことを根拠とするものです。DOJ及びFDAは引き続きオフラベルでの販売促進を警戒しているものの、2015年は業界側からの重要な押し戻しがありました。とりわけ、Amarin Pharma Inc.の事案は、営利的言論の自由と、オフラベルでの販売促進の禁止とのバランスを変えることになるかもしれません(Amarin Pharma, Inc. V. FDA, No. 15-3588 (S.D.N.Y, May 7, 2015))。
ソーシャルメディア
2014年中頃、FDAは、医薬品等の広告及び販売促進のためのソーシャルメディアの使用に関するFDAの考えを示すことを目的として2つのソーシャルメディアに関するドラフトガイダンスを公表しました。最初のガイダンスは、インターネットやソーシャルメディアプラットフォームに関する適切なリスクとベネフィットを示すことに焦点を当てたものでした。2つ目のガイダンスは、インターネットやソーシャルメディアサイトにおける独立した第三者から寄せられた間違った情報の訂正に関するFDAの推奨を定めたものです。FDAは、ある著名な例外事例を除いて、これらのガイダンスに基づいた重大な法執行活動を開始していないものの、2016年には、この領域での活動が増加することが見込まれています。
1つ目のガイダンス
Guidance for Industry - Internet/Social Media Platforms with Character Space Limitations— Presenting Risk and Benefit Information for Prescription Drugs and Medical Devices.
2つ目のガイダンス
Guidance for Industry- Internet/Social Media Platforms: Correcting Independent Third-Party Misinformation About Prescription Drugs and Medical Devices.
著名な例外
Kim Kardashian Warning Letter to Duchesnay, Inc.
FDAによる行政上の活動は典型的には以下の形式を取ります。
Form 483レター:製造施設の査察中にFDAが見出した所見を含み、会社がFDCAに違反しているかもしれないことを示すものです。
警告状(Warning Letters):会社のFDCA違反に係る記述を含むものです。もし当該違反が迅速に是正されなければ、民事差止、同意判決、回収及び/又は金銭的制裁などの、より重大な法執行活動につながるおそれがあります。
無題レター(Untitled Letters):必ずしも警告状のレベルに達するものでもなく、FDAのウェブサイトに公表される場合もある(されない場合もある)違反を指摘するFDAからの当初の応答です。
また、FDAは、回収を開始し、違反医薬品を押収し、米国外の企業に輸入警告(Import Alert)を発し、DOJと共同してFDCA違反に対して民事差止及び金銭的制裁を要求することもあります。
DOJが開始したFCA事件によって、過去5年間、米国政府は数十億米国ドルも回復することになりました。2015年のFCAによる回復額は2014年の回復額である23億米国ドルに及ばない可能性があるものの、2016年においてもFCAは引き続きDOJにとって重要な法執行のツールとなるものと思われます。FCAは、知りながら、政府による支払いのために不正又は詐欺的な請求を行い又は行わさせることを禁じています。当該請求には、メディケア及びメディケイドのような米国政府ヘルスケアプログラムからの支払いを含みます。
2015年、医薬品企業に対する米国政府の法執行活動の重点領域は、(1)cGMP違反、(2)反キックバック法、(3)オフラベルでの販売促進及び(4)ソーシャルメディアでした。
cGMP違反
cGMP違反は、典型的にはFDAによる製造施設の査察中に発見されます。欠陥は、当該違反の重大性に応じて、Form 483又は警告状において所見として述べられます。2015年末までで、FDAは100以上の警告状を発出する見込みであり、その大多数はcGMP違反によるものです。また、FDAは、一般的に、ウェブサイト上に誤解を招くコンテンツを掲載した会社や、不正表示の医薬品を販売する会社に対しても警告状を発出していますので、この点についても留意が必要です。
反キックバック法
連邦反キックバック法(”AKS”)は、連邦ヘルスケアプログラムによって支払いがなされるビジネスを誘因するために報酬を提供し、支払い、要求し、又は受け取った会社又は個人に対して刑事罰を科すものです。2015年、米国保健福祉省の監察総監室(”OIG”)は、医師に対して、医師の金銭の取り決めがどのようにしてAKS上の個人責任を発生させるかについて警告すべく新たに詐欺警告状(fraud alert)を発出しました。2016年、OIGは、DOJと協力して、引き続き医師の金銭関係について精査することになるものと思われます。
オフラベルでの販売促進
中でも群を抜いてオフラベルでの医薬品の販売促進が法施行活動の射程に入っており、その結果として、過去5年間において医薬品企業に対して最も大きなペナルティーをもたらすことになりました。これは、典型的には、FCAの定めに従ってDOJや州の司法長官によって開始されるものであり、医薬品企業がFDAの承認外の用途で医薬品を販売促進したことや、メディケアのような政府プログラムが不正な請求に対して支払ったことを根拠とするものです。DOJ及びFDAは引き続きオフラベルでの販売促進を警戒しているものの、2015年は業界側からの重要な押し戻しがありました。とりわけ、Amarin Pharma Inc.の事案は、営利的言論の自由と、オフラベルでの販売促進の禁止とのバランスを変えることになるかもしれません(Amarin Pharma, Inc. V. FDA, No. 15-3588 (S.D.N.Y, May 7, 2015))。
ソーシャルメディア
2014年中頃、FDAは、医薬品等の広告及び販売促進のためのソーシャルメディアの使用に関するFDAの考えを示すことを目的として2つのソーシャルメディアに関するドラフトガイダンスを公表しました。最初のガイダンスは、インターネットやソーシャルメディアプラットフォームに関する適切なリスクとベネフィットを示すことに焦点を当てたものでした。2つ目のガイダンスは、インターネットやソーシャルメディアサイトにおける独立した第三者から寄せられた間違った情報の訂正に関するFDAの推奨を定めたものです。FDAは、ある著名な例外事例を除いて、これらのガイダンスに基づいた重大な法執行活動を開始していないものの、2016年には、この領域での活動が増加することが見込まれています。
1つ目のガイダンス
Guidance for Industry - Internet/Social Media Platforms with Character Space Limitations— Presenting Risk and Benefit Information for Prescription Drugs and Medical Devices.
2つ目のガイダンス
Guidance for Industry- Internet/Social Media Platforms: Correcting Independent Third-Party Misinformation About Prescription Drugs and Medical Devices.
著名な例外
Kim Kardashian Warning Letter to Duchesnay, Inc.