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ジョーンズ・デイ・ニュースレター: European Labour & Employment Update

European Labour & Employment Update September 2017では、フランス、ドイツ、オランダ、イギリス等における労働法分野の動向を取り上げています。

フランスでは、マクロン大統領が、①企業別労働協約と産業別労働協約の関係の明確化、②労働者代表制度の簡素化、③不当解雇がなされた場合の金銭補償額の変更等を内容とする労働法制改革の関連文書に署名しました。

ドイツでは、労働契約終了後も競業避止条項を存続させるためには、適切な補償(少なくとも報酬の50%)の定めが必要です。ドイツの連邦裁判所は、適切な補償の定めのない競業避止条項は、たとえ分離条項が定められていても無効であり、従業員は無効な条項を遵守しても補償を請求することはできないと判断しました。このような判断は、従業員が退職後も任意に競業避止条項に従うことを期待して補償をしていない使用者にとっては有利に働くことになります。

オランダでは、倒産会社が事業を再開するには、裁判所が選任した管財人は、労働評議会と協議しなくてはならないと最高裁判所が判断しました。また、オランダ法では倒産手続においては事業譲渡の場合における労働者保護規制が適用されないとされているところ、欧州司法裁判所は、管財人があらかじめ裁判所の同意を得て倒産会社の再建を準備しておくいわゆるプレパッケージ型倒産手続においては、事業譲渡の場合における労働者保護規制が適用されると判断しました。

イギリスでは、女性の延長育児休業給付金と男性の分担育児休業給付金の間に差があることは直接的な性差別にあたると雇用審判所が判断しました。ただし、この判断に対しては上訴がされており、また、類似の事案で雇用審判所が別の結論を下したこともあることから、上級審の判断が待たれます。

これらの内容は、フランス、ドイツ、オランダ、イギリスをはじめとする欧州で事業を営む企業にとって注目すべき動向であるため、紹介する次第です。 詳細は、“European Labour & Employment Update September 2017”(オリジナル(英語)版)をご参照ください。