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ジョーンズ・デイ・ホワイトペーパー:シンガポールにおけるイニシャル・コイン・オファリング

シンガポール金融管理庁(Monetary Authority of Singapore)(以下「MAS」)は、2017年8月、イニシャル・コイン・オファリング(以下「ICO」)において発行されるデジタル・トークンが証券先物法(Securities and Futures Act)(以下「SFA」)上の「有価証券」に該当する場合、その国内における募集や発行がSFAに基づく規制の対象となり得るとの立場を明らかにしました(末尾の関連記事①参照)。

デジタル・トークンの有価証券該当性については、米国では、同国証券取引委員会が、その募集に関する事実関係等を考慮して個々の事例ごとに判断する立場を示しています(末尾の関連記事②及び③参照)。他方、シンガポールでは、SFA上の有価証券に該当するためには、デジタル・トークンが社債や株式等といった伝統的な有価証券の定義に該当することが必要です。したがって、MASは、有価証券該当性に関する事例判断に踏み込むことに慎重な姿勢を見せており、今後のICOの発展に柔軟に対応していく余地を残すなど、両国のアプローチには注目すべき差異が見られます。

また、シンガポールにおいて、デジタル・トークンが有価証券に該当する場合であっても、適格投資家(accredited investors)向け私募についてはSFAに基づく規制の適用除外とされています。この点、米国では、適格投資家のみを対象とするICO等において、証券取引規制に合致するよう制度設計されたプラットフォームの活用が進みつつあるといわれています。しかしながら、かかるプラットフォームの使用に対しては、資本市場の民主化、投資機会の拡大というICOの有用性に反するものであるとの批判もなされています。

MASによれば、ICOについて、他のブロックチェーン技術の応用事例と同様、レギュラトリー・サンドボックス(「規制の砂場」:新技術・サービス等の自由な実証実験の場を意味します。)の対象とすべきであるとの意見が庁内に存在するとのことです。仮にこれが実施された場合、規制の枠外である実験場の中で、規制当局と業界関係者らが、消費者への影響を限定しつつ、ICOについてより理解を深め、かつ、ICOに関連する活動を発展させていくことが可能となると考えられます。

本ホワイトペーパーは、ICOに関心を有する日本企業にとって有用な情報ですので紹介します。詳細は、Jones Day White Paper "Initial Coin Offerings—A Singapore Perspective"(オリジナル(英語)版)をご参照ください。

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